タイ最古最大のシリラート病院(マヒドン大学医学部付属)が2026年4月30日、自院で3Dプリント製造したチタン製カスタム股関節をラオス人患者に手術で埋め込むことに成功したと発表した。「院内で3Dプリンティングしたカスタムチタン股関節を実患者に使う」のは世界初で、タイ-ラオス国交75周年に合わせた医療外交の象徴的成果として位置づけられている。タイの医療技術が東南アジア全域に向けた高度先進医療輸出の段階に入った象徴事例だ。
シリラート病院は2025年4月2日に「世界初の院内3Dプリンティングによるチタン製カスタム股関節製造」の成功を公式発表しており、最初の症例は2025年3月10日にタイ人患者に対して行われた。今回のラオス人患者は同技術を国境を越えて適用した最初の事例で、2026年4月30日にタイ-ラオス国交75周年記念事業の一環として手術が実施された。患者は股関節変形症で歩行困難に陥っていたとされる。
技術の核心は患者の骨格データから個別最適化したチタン骨を3Dプリントで院内製造する点にある。従来の方法では海外発注を含めて製造に3〜4ヶ月かかっていた工程を、院内でのオンデマンド製造により2週間未満まで短縮することに成功した。コストも従来の6〜7分の1まで圧縮され、貧困国・中進国の患者でも手の届く価格で先進的な股関節置換手術が受けられるようになった点が画期的だ。
シリラートはマヒドン大学医学部、Meticulously社、Osteo社と連携してこの技術を開発した。タイ政府の国際競争力強化プログラム(Competitiveness Enhancement Program)から資金提供を受けて Osteo社を設立し、個別最適化医療デバイス製造を量産化している。タイ医療技術省と保健省が後ろ盾となり、東南アジア各国への医療輸出を本格化させる方針だ。
在タイ日本人にとっては、タイの医療水準が「日本やシンガポールに匹敵する高度医療を提供できる」ことを示す事例として記憶される。バンコクのバムラングラード病院、サミティベート病院、シリラート病院など主要私立病院は近年、心臓手術・がん治療・整形外科を中心に「メディカルツーリズム」を強化しており、日本人駐在員家族・医療目的の旅行者にとっての選択肢が広がっている。タイ-ラオスの医療連携は今後、ミャンマー・カンボジア・ベトナムへの先進医療輸出の足がかりとなる。