タイ・ソンクラー県テーパー郡ターモアン町のサッカースタジアムで2026年4月30日午後5時30分、地元アマチュアサッカー大会「อบต.ท่าม่วงคัพ(オーボートーターモアンカップ)」開催中に20代男性が観戦中の選手1人を至近距離から射殺する事件が発生した。観客数百人が見守る中での犯行で、犯人は黒い大型バイクで逃走、警察が監視カメラを確認しながら追跡している。タイ南部における銃撃事件の頻発地帯で起きた典型的な「公共空間での銃殺」事件として注目を集めている。
被害者はナディナント氏(仮名・29歳)、ターモアン町ムー8(第8地区)に住むサッカー選手で、所属チームの試合中ベンチサイドにいた際に襲われた。証言によると犯人は20〜22歳ぐらいの若い男で、観客席に座って試合を観戦していたが、突然立ち上がって被害者に近づき2〜3発を発砲。直後に大型バイクで逃走した。被害者はテーパー病院に搬送されたが治療の甲斐なく死亡が確認された。
事件発生時、観客は数百人に上っており、目の前で銃殺事件が起きたことで現場は一時パニックとなった。タイ警察は逃走方向を「ラムパイ町方面」と特定し、防犯カメラの映像を解析しながら容疑者の身元特定を進めている。動機は不明だが、地元住民の間では「個人的な怨恨」「賭博絡み」「サッカーチーム間のトラブル」など複数の説が語られている。
ソンクラー県テーパー郡は南部国境地帯(ナラーティワート・パッタニー・ヤラーに近い)に位置し、20年以上にわたって南部不穏勢力(マラユー系民族独立運動)と政府軍の間で軍事的緊張が続いている地域だ。南部4県(深南部)では銃撃・爆発事件が日常的に発生しており、犯罪と政治テロの境界が曖昧な事件も多い。今回のケースは「政治テロ」ではなく個人犯罪と見られているが、銃器の入手のしやすさは深南部の地理的環境に起因する部分が大きい。
在タイ日本人にとって、ソンクラー県のハジャイ市内・ハジャイ国際空港・観光地はタイ国際線の南部玄関口として馴染みがあるが、南部4県内陸部(テーパー郡を含む)への観光は外務省が「不要不急の渡航は控える」と注意喚起している地域だ。今回のような事件はハジャイから50km以上離れた農村部での出来事で、日本人観光客が直接巻き込まれるリスクは低いが、深南部の治安問題が改めて浮き彫りになった事件と言える。