タイ保健省の支援サービス局(สบส.)と移民局1部が2026年4月29日、バンコクのワッタナ区クロントゥイヌア地区のホテルで美容外科の違法相談を行っていた韓国人医師(40歳)を逮捕した。タイの医師免許を持たないまま、ホテルの一室で外国人客を装った捜査員に「顔の状態を診て施術プラン提案+韓国本院での予約」を進めていた現場を押さえられた。
容疑者の男はタイで合法に医療行為を行うために必要な医師会(แพทยสภา)の免許を持たず、観光ビザで2024年以降に少なくとも18回タイに出入国している常習犯だった。1回の滞在は2日程度で、ホテルに「臨時クリニック」を開設して相談だけ済ませ、韓国へ送客するスキームだ。タイ医師会が摘発前に注意喚起していた典型的な「医療ツーリズム名目の違法相談」のケースとなる。
捜査員は事前に予約客を装って潜入し、相談料500バーツを支払って手口を確認。施術希望者には「韓国本院で受ける手術」の手付金として3万バーツ(約14万円)の前払いを求められることも判明した。手付金は韓国側病院の予約金として処理される建付けだが、タイ国内で集金する時点で外国人医師による無資格営業に該当する。
裁判所は男に対しタイ医師法違反(無資格医療行為)と外国人不法就労の2罪で懲役6ヶ月・罰金2万バーツ(約9万円)、執行猶予1年を言い渡した。執行猶予のため即時収監はされないが、再犯すれば実刑となる。保健省支援サービス局は男を仲介していたエージェンシー(タイ国内の予約取次業者)の捜査を進めており、関与が確認されれば追加で立件される。
タイ医師会は「外国の医師免許はタイ国内での医療行為を正当化しない」「ホテル相談・SNS経由の勧誘は違法の可能性が高い」と警告している。在タイ日本人や日本から旅行する女性のなかにも「韓国式美容外科をタイで安く相談したい」という需要があり、SNSやLINE広告で似た勧誘を見かけた経験を持つ人は少なくない。タイ医師会の登録番号がない医師がホテルで相談を持ちかけてきた場合、応じないのが鉄則となる。