タイの矯正局(กรมราชทัณฑ์)が2026年4月29日夜、タクシン元首相の通常仮釈放を正式に承認した。釈放日は2026年5月11日で、これに伴いタクシン氏は中央刑務所(クロンプレム)から自宅へ戻る。ただし、当初の予測と異なり、EM(電子監視装置)の着用が残刑期満了まで約4ヶ月間義務付けられる。
直前まで「70歳超でEM免除になる」との見方が複数のメディアで報じられていたが、矯正局の小委員会が4月29日に出した最終決定はEM着用を条件とするもの。タクシン氏は2568年(2025年)9月9日から1年の刑に服しており、刑期の3分の2にあたる244日(8ヶ月4日)を5月10日に満了する計算で、翌5月11日に仮釈放となる。残刑約4ヶ月(2569年9月上旬まで)のあいだ、EMを装着して保護観察下で生活することになる。
矯正法(B.E. 2560)の特別条項のうち、「70歳以上で残刑1年以内」「服役中に更生プログラムを修了」「再犯リスクが低い」の3要件をクリアしたことが承認の根拠とされた。タクシン氏は今年で76歳。同日の小委員会では計920人の受刑者が審査され、うち859人が通常仮釈放を、10人が特別事由による仮釈放を承認された。タクシン氏もその859人の一人として処理された形だ。
釈放後はバンコク・チャンサーノーク地区のシナワット家自宅が保護観察拠点となる。シナワット家はタクシン氏の妹であるインラック元首相を含む親族が出迎える準備を進めており、ペートンタン首相(タクシン氏の長女)は政府内での立場上、私的な対面のみと見られている。タクシン氏は服役中も政治的影響力を保持してきており、釈放後にプアタイ党の戦略にどう関与するかが注目される。
EM装着は外出先・移動経路が常時記録される仕組みで、タクシン氏が私邸外で大規模な政治活動を行うことは事実上難しい。一方で、報道機関とのインタビューや党幹部との面会は自宅で行えるため、政治的発信力を失うわけではない。9月の刑期満了後はEMが外れ、本格的な政治活動に戻れる可能性もある。在タイ日本人企業にとっても、タクシン派の経済政策(電気代圧縮・タイ助タイプラスなど)が今後どう動くかを見るうえで、本人の動向は引き続き重要な指標となる。