タイ司法省は2026年4月29日に仮釈放委員会を開き、タクシン・チナワット元首相の仮釈放条件を最終審議する。釈放予定日は5月11日朝で、76歳という高齢と健康上の事情から電子モニター(EM)着用は免除される可能性が高い。タイ司法・政治を二分してきた長期案件が、いよいよ最終局面を迎える。
司法相のルッタポン・ナーオワラット警察大佐は、4月29日の委員会会合は「定められた手順に沿った標準的な段階」と位置づけ、結果として5月11日にタクシン氏が刑務所を出る運びになると説明した。タクシン氏は1年の判決のうち服役8ヶ月を経過しており、刑期の3分の2を満たすことで通常の仮釈放対象に入る。
電子モニター着用については、タイの規定で高齢者・虚弱者は対象外となるケースがある。タクシン氏は76歳で健康問題も抱えていることから、委員会が「EM免除」を選択する可能性が報道で繰り返し示唆されている。最終判断は4月29日の会合次第である。
釈放後の身柄は、自邸として知られるバンコクのバーンチャンソンラ邸に戻る予定。そこから4ヶ月の保護観察期間を経て、2026年9月9日に刑期そのものが満了する流れだ。保護観察期間中は司法省の監督下で生活し、海外出国や政治的活動には一定の制限がかかる。
タクシン氏は2023年の帰国直後に汚職関連の有罪確定刑を執行する形となり、当初は警察病院での収容が長期化、その後は服役期間の認定をめぐって法廷闘争と政治対立が続いてきた。実弟筋の与党プアタイ党と娘ペートンタン氏が政界で動く中、本人の社会復帰は同党と連立政権の今後を占う節目となる。日本人の感覚では「元首相が刑務所で服役している」状況自体が驚きだが、タイ政治の長い対立構造を象徴する案件として、4月29日の委員会判断が最大の焦点となる。