タイ中央銀行(BOT)が2026年4月28日、ASEAN Payment Connectivityフレームワーク経由で9カ国・地域の店舗QRコードを直接スキャン決済できる仕組みを本格スタートした。タイの主要銀行アプリで利用でき、為替の自動換算と即時決済により海外渡航時の現金準備が不要になる仕組みだ。
対応する9カ国・地域は、中国、マレーシア、ラオス、インドネシア、カンボジア、シンガポール、香港、ベトナム、韓国。タイ国民のアウトバウンド観光・ビジネス出張先として利用頻度の高い国々が網羅されており、海外で「現地通貨を引き出す」というハードルが大きく下がる。基盤になっているのは、タイ国内で広く使われているPromptPayシステムで、その国際版として位置付けられる。
参加するタイ側の銀行は、Bangkok Bank、Kasikornbank、Krung Thai、SCB、ICBC Thai、BAAC(農業協同組合銀行)、Krungsri、CIMB Thaiといった主要行が中心。各銀行のモバイルアプリで、現地店舗の店頭にあるQRコードをスキャンするだけで、現地通貨での金額がタイバーツに自動換算され、店舗口座に即時入金される。
これまで海外旅行のたびに、現地通貨への両替・ATMからの引き出し・海外利用手数料がついた決済カードのいずれかを選ぶ必要があったが、QRコードスキャン1つで完結する形となり、旅行コストと手間の両方が下げられる。為替レートは銀行公定レートに基づくもので、利便性とコストパフォーマンスのバランスが良い決済手段になる。
在タイ日本人にとっては、出張・観光・帰省などタイから海外へ出る場面で恩恵が大きい。シンガポール・マレーシアの屋台、香港のレストラン、中国本土のコンビニといった「観光客が日常的に使う場所」での決済がスマートフォン1つで完結することは、タイ生活者の海外移動コストを下げる構造的な変化といえる。BOTは今後、ASEAN以外の地域への拡大も視野に入れており、タイのデジタル決済インフラがアジアの中でも先進的な位置に立つ流れが続く。