(関連記事:タイのタクシー5協会が首相府前で抗議、配車アプリ規制と政府公式アプリ要求)
タイのシリポン・アンカサクンキャット副運輸相は2026年4月28日、5つの公共有償交通協会の代表と政府旧公務員委員会オフィスで協議を行い、配車アプリ規制と運賃監視を含む7項目の要望書を受領した。同日午前に首相府前で行われた抗議行動からわずか数時間後の対応で、政府が交通業界の燃料コスト負担に対して動いた格好となる。
協議に参加したのは、公共タクシー運転手職業協会、公共有償運転手チーム協会、二輪車有償運転手協会、電気バイクEV有償運転手協会、タイライダー(フードデリバリー)協会の5団体。協会代表に加え、運輸省側からは検査官、陸運局長、首相府次官代理、住民サービスセンター代表が出席し、要望項目の現状認識を共有した。
シリポン副運輸相が示した方針は4つの柱で構成される。第一にデジタル配車アプリへの法執行強化、第二に法定運賃の遵守を監視するメカニズムの導入、第三に政府主導の公式配車プラットフォーム構築、第四に違法車両への厳格な取締りを陸運局に指示することである。「国民の利益を最優先に、迅速かつ具体的な解決策を打つ」と副運輸相は強調した。
要望項目は前回(同日朝の首相府前抗議で提出された6項目)から1項目増えて7項目となっており、燃料コスト上昇に伴う細目調整(タクシー車齢上限延長や登録更新の負担軽減等)も新たに加わった。これに対し陸運局長のソラポン氏は、現行制度の運用範囲で可能な対応を即座に進めると応じている。
タイの公共有償交通は、燃料価格の高騰と配車アプリの市場支配力の二重圧力に直面しており、政府としては「配車アプリ事業者に法令遵守を求めつつ、独自プラットフォームで競争環境を整える」方向に舵を切った。日本人の感覚では「政府が配車アプリ規制と公式アプリ構築まで踏み込む」展開は驚きだが、タイでは公共有償交通の生活基盤を保護する観点から、この介入が現実的選択肢として動いている。

