タイ東北部ウドンタニ県ピブンラック郡で4月26日、雷雨の中で飼い牛9頭を心配して外に出た40歳の女性が、囲いに入れ終えた直後に直撃雷を受けて立ったまま命を落とした。家族は4月27日、バンドンムアン村のアンプワナラム寺で火葬式を行った。
亡くなったのはナマッサナント氏(40、姓非公開)。夫の説明では、結婚4年の夫婦に子供はなく、事件発生時の夫は近くの別の畑の小屋にいた。雷雨が強まると、自宅の外で飼っている9頭の牛が雷で被害を受けるのを心配し、妻はバイクで家を出て囲いに集めに行った。9頭を入れ終えた午後3時近く、轟音とともに直撃雷を受けて即死した。
村では「タイモン(不自然な死)」と判断され、遺体を家に入れず、寺で1日だけ保管したのちに火葬された。これは「長く家に置くと村で連続死が起きる」という地域の言い伝えに従ったもので、雷死など突然の死には特にこの儀礼が適用される。火葬は4月27日午後、夫と姉が号泣する中で執り行われた。
タイは雷被害が多い国の一つで、特に4-5月の夏季嵐シーズンに集中する。今年は気象局が4/29-5/1の夏季嵐警告(第1号)を発表したばかりで、東北部・北部では同様の天候が続く見通し。「家畜を心配して外に出る」場面は農村部で日常的に起こり、雷直下の死亡リスクと隣り合わせという現実がある。
バンコクの都市生活では雷死は遠い話に感じられるが、地方ではこのような事故が日常の延長で起きる。雷雨警告が出たら屋外作業・大樹下・露天滞在を避けるという基本ルールは、駐在員家族の地方旅行や農村訪問でも有効だ。雷の真下では金属の傘・自転車・バイクも危険を増幅する。
牛9頭は地方農家にとって資産そのもので、雷から守ろうとする心情は理解できる。しかし「家畜を入れに行く」という行為自体が、雷下では命の取引になりうる。気象局の警告と現実の判断との間で、地方の家庭にどんな備えができるか。今回の事件は、その問いを残す。