チョンブリー県パナースニコム郡のソムタム(タイ風青パパイヤサラダ)店で4月27日、身なりのいい男女が「ソムタム1袋ください」と無料食事を要求し、店主が容器入りで提供しようとしたところ、「店内で食べたい」と席を要求して立ち去った場面が、店のFacebook投稿でSNSバイラル化した。タイでは貧困者向けの無料食事提供は店の慣習だが、要件を満たさない人物による要求として批判が広がっている。
店はワット・プラップ前にある「ソムタム・サドート・パナースニコム」。店主のマンレディ氏(35)は朝の開店準備中、男女が来店したと話す。「身なりは普通で、貧困者には見えなかった。それでも『ソムタムをいただけませんか?』と聞かれて、店主に確認したところ、容器入りで持ち帰り提供することに。男女は『店内で食べたい』と難色を示した」。
店側は監視カメラ映像をFacebookページ「ソムタム・サドート・パナースニコム」に投稿。「いつもなら貧困者・浮浪者には無料で食事を提供しているが、今回は身なりのいい夫婦が無料を要求し、容器渡しは断って店内座席を要求し、強い目線で去って行った」とコメント付きで公開した。コメント欄には「選り好み」「無料を要求する立場ではない」と批判が殺到した。
タイでは多くのローカル食堂が、近隣の浮浪者や生活困窮者に余ったご飯やソムタムを無料で配る習慣がある。店主の善意で成り立つ慣習で、配布形態は基本的に「持ち帰り用容器」。店内座席は売上に直結するスペースなので、無料配布は容器渡しが原則となる。今回はそのルールを理解しない要求が、SNS上で礼儀違反として批判された格好だ。
タイの食堂で無料食事を頼む場面は、駐在員には縁遠いが、地方や都市の路地ではいまだに残る相互扶助の文化だ。今回の件は、タイの「善意で成り立つ慣習」に対して、その範疇を踏み越える要求が起きたときにSNSでどう批判されるかを示す好例となる。タイでは身分相応の振る舞いを巡る感覚が、日本以上に明確に存在する。
店側は今回の件を受けて、無料食事提供のルールを店頭に明記するか検討する可能性がある。ただし、慣習として「言わない・書かない」ことに価値が置かれるタイの食堂文化では、ルール明文化はそれ自体が議論を呼ぶ。目視判断と容器渡しという暗黙のラインを、SNSがどう扱うかが今後の論点となる。