タイ北部パヤオ県メーチャイ郡で4月26日、雷雨と強烈な突風が複数の副区を襲い、地元の主要市場「ジェジュ市場」が壊滅状態となった。露店のテントが宙を舞い、商品が散乱する中、商人たちは雨に打たれながら必死に荷物を回収する事態となった。倒木が主要道路を塞ぎ、屋根が飛ばされた家屋も多数。県・郡当局が総動員で被害調査と復旧に乗り出している。
被害が深刻なのはメーチャイ郡のマレッタン副区とバンラオ副区の一帯。とりわけメーチャイ郡で「ジェジュ市場」の名で知られる地域共同体の中核市場が突風の直撃を受け、露店、テント布、簡易構造物が一気に吹き飛ばされた。商品は雨水と泥にまみれ、保存できない生鮮食品の損失が出た。市場の商人たちは雨の中で台車や袋に商品を積み替え、ようやく一部を持ち帰った状態だ。
風は街路樹もなぎ倒した。大型の倒木が複数本、主要幹線道路と村内道路に倒れかかり、車両の通行が一時遮断された。県と郡の災害対策チームがチェーンソーや重機を投入して枝の切断と道路開通を進めたが、村奥の道路は4月26日深夜まで一部が通行止めのまま。バイクで通学・通勤する地域住民の朝の動線に影響が出ている。
家屋の被害も広範囲に及ぶ。屋根材が剥がれて飛ばされた家屋、瓦が割れた家、塀が倒れた敷地などが各村で確認されている。郡行政官、地区長(カムナン)、村長らが副区長と連携して家屋ごとの被害状況を聴き取り、公的災害見舞金(タイ政府の災害関連規定に基づく支援)の申請書類を準備している。被害が大きい家屋には、雨の再来に備えて応急修理(屋根材の応急貼付、ビニールシート張り)も並行して進めた。
タイ北部の4月下旬は「夏嵐」(พายุฤดูร้อน)と呼ばれる短時間の強雷雨に見舞われやすい季節で、タイ気象庁は今月だけでも複数回の嵐警報を出している。ただ今回のパヤオの被害は警報の対象範囲外で発生したようで、住民が事前に屋外の物を屋内に移したり、露店の幕を下ろす時間を確保できなかったことが被害拡大の一因となった。先に書いたタイ気象庁の29県への嵐警報でも、北部山岳地帯はピーク後の余波が4月末まで続くと予測されていた。
メーホンソンの山火事が民家地区へ延焼した事例もそうだが、北部の自然災害は直接の被害規模は大きくなくても、観光客に依存した地域経済への打撃が早く見える形で出る。ジェジュ市場のように地元商人が日銭で生活を回しているケースでは、市場が1日閉まるだけで複数家族の収入が止まる。郡行政の支援申請が早急に動き出すかが焦点になる。
メーチャイ郡当局は、被害住民の被害一覧を作成しつつ、新たな雷雨に備えた応急修理を優先する方針を発表した。市場の商人たちは「明日からまた商売を再開する」と語っており、復旧と日常が並走する形になっている。