タイ北部メーホンソン県の山岳地帯で発生した山火事が、23日未明にかけて急速に勢いを強め、住宅地へ延焼したと県当局が発表した。パンムー・サブディストリクト村8の「バンマイグエ」集落とその周辺が直接の脅威にさらされており、公務員の官舎や近くの軍営も炎の進路に入っている。
火元となったのは隣のバン・ナクラチョンの山林地域で、週末にかけての高温と乾燥により表層の落ち葉や竹林に火が移り、一晩のうちに稜線を越えた。風の向きが夜半から北寄りに変わったことで、炎の前線はバンマイグエ村の北側の山肌まで押し寄せる形になった。
地元消防と森林局、軍のレスキュー小隊が合同で現場に投入され、家屋と公務員住宅を守る防火線の構築に追われている。ただ山腹の斜面が急で、消防車が入れるのは限られた道路までしかなく、ホースと徒歩部隊に頼る消火活動が続いている。
メーホンソン県はタイ北部の中でも最も山間部の比率が高い県の一つで、毎年乾季末に山火事が多発する。2026年は例年以上に乾燥が続き、焼き畑や違法な密猟目的の放火も加わって、火災件数が押し上げられてきた。PM2.5の濃度も同地域で大気基準を超える日が続いており、住民への健康影響が並行して懸念されている。
今回の延焼で、バンマイグエ集落の住民には緊急の避難準備と、家畜の移動、貴重品の早期搬出が呼び掛けられた。軍営地については内部からの消火支援部隊も合流し、軍用車両で物資と人員を前線に運ぶ体制が整えられている。
メーホンソンはパーイ、メーラナイなど、日本人旅行者にも人気の山岳観光地を抱える県だ。今回の火災は観光地から直接離れてはいるものの、同県の山火事シーズンが長期化すれば、移動道路の通行制限や呼吸器リスクのある旅行者の滞在計画に影響する可能性がある。
タイ駐在の日本人、特に家族連れで北部の山間リゾートを訪れる人は、気象庁・保健省のPM2.5情報と、メーホンソン県庁のFacebookで発信される山火事情報を、旅行前と滞在中に確認する癖をつけたい。4月から5月初旬の乾季末は、タイ北部の呼吸の質と移動の自由度が大きく揺れる時期である。