タイ政府系の住宅銀行GHB(Government Housing Bank / ธอส.)が、家庭用ソーラールーフ(太陽光発電パネル)の設置資金を支援する融資プログラムを拡充すると発表した。エネルギー危機と電気代上昇を背景にした政府の節電政策に歩調を合わせる形で、23日に新たな条件が公表された。
柱となるのは2つのパッケージだ。1つ目は「Solar Roof ローン 2568/2569」と呼ばれる専用商品で、政府福祉カード会員の家庭向けに最大30万バーツまで融資する。金利は初年度から3年間固定で3.90%、ソーラールーフ設置に限定された目的ローンで、追加の抵当登記が不要な点が使いやすい。
2つ目が住宅購入・建築・改修・省エネ設備投資を一括でカバーする「Eco House」ローンだ。これは太陽光パネル設置に加えて、断熱材・省エネエアコンへの交換、給湯機のヒートポンプ化などもまとめて組み込める。金利は初年度から2.20%スタートで、返済期間は最長40年が許される。
返済額の具体例としては、Solar Roofローンで10万バーツを借りた場合の月返済が1,100バーツ程度。Eco Houseローンで100万バーツを借りた場合は月2,900バーツから始まる計算になる。住宅ローンと省エネ投資を同時並行で組み替える世帯にとっては、家計の月次キャッシュフローへの負担を抑えつつ、電気代の節約効果を取りに行ける設計だ。
申込は銀行公式アプリ「GHB ALL GEN」または全国支店で受け付ける。収入証明と住宅所有権の書類、ソーラー設置業者の見積書を揃えて提出する流れで、審査は政府の省エネ推進フレームワークに沿って通常より短縮されるとされる。
タイの家庭用電気料金は2024年以降、段階的に引き上げられてきた。2026年に入ってからはイラン戦争起因のエネルギー価格高騰も重なって、夏場のエアコンフル稼働時の電気代がバンコクの中流世帯で月5,000〜10,000バーツを超えるケースが珍しくなくなっている。ソーラールーフ導入で昼間の自家消費を増やし、ピーク時間帯の電気代を削る動機は強まる一方だ。
タイ駐在の日本人にとっても、家族帯同で一戸建てを購入・賃借しているケースでは、この2つのローンは直接の利用者候補になり得る。ただしGHBローンはタイ国籍または長期労働許可保持者が対象となる条件が多く、永住権(LTRビザ含む)や配偶者ビザの取得状況によって使える商品が異なるため、事前に銀行窓口で確認しておくのが確実だ。