タイのインフルエンサー「バード・ワン・ワーンワーン」が4月26日のプラプラデーン水祭りでセメント系タイル目地材「クロコダイル印」を白粉代わりに参加者の顔へ塗布した動画が拡散した件で、製品メーカーの会社側が4月26日夜、SNS上で公式に反応を発信した。コメントは「จะร้องไห้อีกมั้ย!(もう泣かないか?)」という挑発的な書き出しで、「動画チャンネルの所有者には既に連絡済みで、状況を厳しく追跡し関連部分で適切な対応を取る」と発表した。先に書いたバード氏のセメント目地材塗布事件から半日と経たないスピード反応となった。
クロコダイル印(ตราจระเข้, Jorakhe)はタイの大手建材メーカーが展開するブランドで、セメント・タイル目地材・接着剤など建築資材を扱う。ホームセンターやプロの工事現場で広く使われる定番ブランドで、製品袋にはクロコダイルのロゴが印刷されている。今回バード氏が動画で映していたのもこのクロコダイル印の目地材袋だった。
メーカーの公式コメントの「もう泣かないか?」というフレーズは、タイ語の挑発的な慣用句で、バード氏が過去の動画で炎上のたびに泣いて謝る場面を見せてきたことを踏まえた皮肉と受け取られている。バード氏は2024年12月にも別のインフルエンサー「バンク・レスター」氏との問題動画で炎上し短期拘留を経験しており、SNS上では「また泣いて謝るパターンか」という声も上がっていた。
メーカー側は具体的な「適切な対応」の中身は明示していないが、選択肢としては:
- 商標・ブランドイメージ毀損による民事の損害賠償請求
- 化学物質の不適切使用による警察への被害届
- 動画プラットフォーム(TikTok・Facebook・YouTube)へのブランド使用停止申し立て
これらが想定される。タイの商標法と消費者保護法の枠組みでは、企業が自社製品を本来用途以外で使った映像コンテンツに対して法的措置を取ることが可能で、特に安全リスクを伴うケースでは民事だけでなく刑事面でも責任が問われる場合がある。
事件の本体は、クロコダイル印の目地材は主成分がポルトランドセメント・シリカ砂・各種化学添加剤で、水と混ぜると強アルカリ性(pH12〜13相当)を示し、皮膚に塗布されれば化学やけど・皮膚剥離、目に入れば角膜損傷から視力障害に至るリスクがある、という構造的な危険性だ。バード氏の動画では参加者の顔だけでなく子供にも塗布される様子が映っており、Drama-addictをはじめとする医療系SNSページが警告を出している。
バード氏のFacebook・Instagram(@bird_121、フォロワー約21万人)は4月26日夜時点で当該動画が削除されていない状態が続き、SNS上では「未成年者の被害があれば刑事告訴」「警察は介入を」という声が広がっている。タイ警察の正式な動きはまだ報じられていないが、被害届が複数集まれば刑事事件化する見込みだ。
メーカー側が公式に反応したことで、企業ブランドの名誉と消費者の安全という2つの観点で動きが本格化する。クロコダイル印にとって自社製品が「悪戯動画の道具」として広まることは長期的なブランド毀損で、今回の対応がタイの企業ブランドリスク管理の事例として注目される。次の節目はメーカーの正式声明と、警察の介入有無だ。