タイ最大級の財閥CP(チャルーンポカパン)グループ傘下のEC企業Ascend Commerce(アセンド・コマース)が、日本の通信大手NTTドコモ(NTT DOCOMO Group)との戦略的パートナーシップを締結した。CPの会員アプリ「Amaze」を軸に、ECとポイントプログラムの本格的な強化を進めるもので、日本の先進的な顧客管理(CRM)・ロイヤリティ運用ノウハウをタイ市場に導入する狙いだ。
発表は2026年4月24日、CPグループ上級副社長のスパチャイ・チアラワノン氏が行った。スパチャイ氏は「タイはデジタル移行の次のフェーズに入っており、CPはAmazeプラットフォームを通じてこの移行を支援する」と述べ、リテール・通信・金融・デジタルサービスを一体化した「単一で強力なエコシステム」の構築を目指すと表明した。
今回の提携の核となるのは、NTT DOCOMOグループがこれまで日本市場で培ってきた顧客管理システムとロイヤリティプログラムの運用手法。日本は世界でも最も進んだロイヤリティエコシステムの一つと位置付けられており、ドコモが構築してきた「dポイント」関連の仕組みやクロスブランド連携の手法が、タイのAmazeに移植される形になる。
Amazeは、CPグループが消費者接点の統合プラットフォームとして展開しているアプリで、7-Elevenを筆頭にするリテール網、TrueMove Hの通信事業、CPAXTRAの卸売、金融サービスなど、CPが保有する幅広い事業群を横断的に結びつける役割を担う。今回のドコモ提携により、データ分析・ポイント付与ルール・パーソナライゼーションの機能が大幅に拡張される見通しだ。
CP側の発信によれば、提携の恩恵は大手事業だけでなく、タイ国内の中小企業(SME)やパートナー店にも及ぶ。CRM・ロイヤリティツールを強化することで、加盟店はAmazeネットワーク内での集客・リピート促進を進めやすくなり、タイのデジタル経済全体の底上げにつながる想定だ。
タイ市場における日系大手企業とタイ地場財閥の提携は、ソニーのAEON系EC連携、NTT東日本系企業のデータセンター投資、三井物産のCP関連出資など、ここ数年で加速している。今回のアセンド×ドコモ案件は、顧客データとロイヤリティという、小売業で最も高価値のアセット分野での提携として、注目度が高い。
在タイ日本人駐在員・ビジネスパーソンにとっても、Amazeアプリは7-Eleven・ロータス等の日常利用と結びついた会員プラットフォーム。今回の提携によってdポイントに近い形でのポイント統合や、日本在住者がタイ滞在中にシームレスに使える機能の拡張があれば、実生活でのメリットも生じうる。
今後の具体的な機能追加・サービス統合の時期・範囲は、両社から順次公表される見通し。まずはCRMバックエンドとロイヤリティエンジンの強化が最優先で、消費者側のUI・ポイント制度の変更は段階的に実装されるとみられる。