タイ労働省の労働福祉保護局(DLPW)は22日、警備員(รปภ.)や場所・財産の監視を業務とする従業員の残業代・休日手当の支払いを明確化する新省令が、4月24日から正式に施行されると発表した。官報告示から1年を経て実施される運びで、雇用主は賃金台帳と勤務シフトの両面で対応を迫られる。
対象となるのは、事務所ビル、マンションコンドミニアム、工場、駐車場、商業施設、病院などで「場所や財産を見張る」業務に就く労働者全般だ。警備業務を委託されている警備会社の従業員のほか、自社雇用で門番・ガードマンを置いているケースも対象になる。
新省令によると、残業代の最低水準は業務上の時間帯によって2段階で設定された。通常日の8時間労働を超える時間帯は、時給の1.25倍以上。休日に働かせた場合の超過時間帯は、時給の2.5倍以上である。これは労働保護法の一般原則に沿った水準で、警備業界の従来慣行を再確認する位置づけとなる。
月給制ではなく日給や時給で雇用されている警備員については、労使合意で1日の通常勤務時間を8時間を超えて設定することも引き続き認められる。ただし、週の合計労働時間は48時間を超えてはならず、8時間を超えた時間分については通常日で時給の1.25倍、休日で2.5倍の代償報酬を別途支払う必要がある。
労働福祉保護局のサーロッジ・コムカーイ局長は、「現在の経済状況を踏まえて、警備員の方々が法律に基づく公正で適切な権利を得られるようにするためのものだ。雇用主には、新省令が施行される4月24日以降、正しく残業代と代償報酬を支払うよう強くお願いしたい」と述べた。
タイの警備業界は近年、深刻な人手不足に直面してきた。長時間勤務や割増賃金の未払いが横行していると指摘されてきた分野でもあり、今回の省令は労働条件の「現代化」を目指す労働省の政策の一環である。
タイ駐在員が関わる日本企業にとっても、工場・事務所・マンションなどで警備会社と契約しているケースは珍しくない。4月24日以降は、警備会社側から「時間外手当の計算方式が変わる」として、月額見積もりの引き上げ提案が届く可能性が高い。契約書に記載された残業代算定方法を改めて確認し、新省令の基準に合致しているかをチェックしておく必要がある。
雇用主や警備員本人が制度について疑問がある場合は、各県の労働福祉保護事務所、バンコク10地域の同事務所、または労働福祉保護局のホットライン(1506→3、もしくは1546)で案内を受けられる。違反が疑われる場合の通報窓口としても機能している。