タイ西部カンチャナブリ県ムアン郡ワンダン地区タンボンの野生動物保護区「カオ・サラックプラ(Khao Salak Phra Wildlife Sanctuary)」で22日夜までに山火事が広範囲に広がり、県庁が緊急態勢を敷いた。ワリスター・サグワーンセームスィー知事の指示を受け、ウッティポン・スパックワニット副知事が現地と連絡を取りながら消火指揮に入った。
現場はタンボン・ワンダン村5と村6にまたがる山地で、サラックプラ野生動物保護区の一角にあたる。保護区の中では国内で比較的多く残る混合落葉樹林と竹林が混在しており、乾季末のこの時期は地表の落ち葉が一気に燃料になる条件がそろっていた。
火の手は4月21日から立ち上り始め、22日に入ると強い風が長時間続いたことで一気に延焼が広がった。SNS上には「山全体が炎に包まれているように見える」という動画と写真が拡散し、周辺の住民から県庁への問い合わせが殺到したため、県は同日夜にかけて対応指示を強めた。
県知事の指示の柱は3点だ。第一に、消防・地方自治・森林局・軍の合同部隊を投入して延焼を食い止める消防線(ファイアライン)を迅速に整備すること。第二に、消火作業を24時間体制で継続し、強風で飛び火が消防線を越えた場合にも即応できる見張り班を配置すること。第三に、住民への避難情報と道路の通行規制を地元放送と村長ネットワークを通じて確実に周知することだ。
サラックプラ野生動物保護区はカンチャナブリ市街地から車で1時間ほどの距離にあり、ガウル(インドヤギュウ)、シカ、野生象、コシアカキジなどが生息している。火災が長期化すれば、これらの希少動物の生息域にも影響が及ぶため、保護区スタッフは動物の移動路を確認しながら消火作業を進めている。
カンチャナブリ県は2026年の乾季を通じてすでに複数回の山火事を経験しており、4月中旬にはトンパプーム郡でも金採掘グループが放火した疑いのある火災があった。PM2.5による大気質悪化と熱波が重なり、地域の消防資源は全県規模で限界に近づいている。
タイ駐在の日本人にとっても、カンチャナブリはエラワン滝やクウェー川の観光地として週末の家族旅行先として馴染み深い。山火事のあと数週間は煙と灰が山裾まで残ることがあり、呼吸器に敏感な子どもや高齢者がいる家庭は、県庁や観光スポーツ庁の大気質情報を確認しつつ訪問日程を組むのが賢明だ。