9日に行われたアヌティン政権の施政方針演説で、野党議員のワロン氏が石油流通をめぐる重大な疑惑を突きつけた。同氏が示した数字によれば、国内の流通記録から7億2700万リットルもの石油が消失しており、何者かによる組織的な買い占めが行われている可能性を指摘した。
ワロン氏はもともと医師出身の議員で、エネルギー問題に精通していることで知られる。今回の演説では、石油の需給データを独自に分析した結果として「帳簿上で消えた」石油の規模を具体的に提示し、議場に衝撃を与えた。同氏は「これだけの量が自然に消えることはありえない。意図的に備蓄している黒幕がいるのは確実だ」と断言している。
タイでは足元で深刻な燃料危機が進行中である。ディーゼル価格はリッターあたり50バーツを突破し、南部の漁業や物流に甚大な打撃を与えている。法務大臣も石油タンクローリー1万1千台が配送せずに買い占めを行っている疑いを告発しており、流通段階での不正が複数のルートで浮上している状況だ。
さらに洋上でも5700万リットルの石油が「消失」した疑惑が発覚し、DSIが捜査に乗り出している。不審な洋上移送は99航海にまで拡大しており、陸上・海上の双方で石油の不透明な流れが問題化している。ワロン氏が国会の場で提示した7億リットル超という数字は、これらの個別事案を統合した全体像を示すものといえる。
ワロン氏は演説の締めくくりで、アヌティン首相に対し「この問題に真正面から取り組まなければ、任期を全うすることはできない」と強い口調で警告した。首相自身は施政方針でエネルギー危機と経済再建を柱に掲げたばかりであり、具体的な対策の実行力が早くも試される局面を迎えている。

