タイの食品価格が一斉に上昇している。豚肉が1kg165バーツを超え、鶏肉・鶏卵も連日値上がりが続いている。商務省は価格安定策を打ち出しているが、市場の現場ではそれが機能していない。
豚肉の価格は2026年3〜4月に赤身肉で1kg165バーツ超と、前年同期より15〜20%ほど高い水準だ。鶏肉も2023〜2024年の水準から10バーツ前後上昇しており、チェンマイ市場では1kg当たり10バーツの値上がりが確認されている。鶏卵は1個3.6バーツ前後と、1年前と比べて1個あたり50サタン程度高い。
値上がりの主因は燃料費だ。養豚・養鶏では飼料の輸送費、農場の電力費(扇風機・温度管理)、屠場から市場への配送コストすべてにディーゼルが絡む。燃料が1Lあたり10バーツ以上高騰した影響は、食品の生産コストをそのまま押し上げた。加えて大豆や穀物系飼料の輸入価格も上昇しており、畜産農家は飼料代と燃料代の両面からコスト増を受けている。
商務省は価格監視品目リストを拡大し、豚肉・鶏肉・卵を含む59品目の急激な値上がりを阻止する方針を示している。しかし最低賃金や物価連動の仕組みがない現状では、生産者に損失を強いる形でしか価格を抑えられず、長続きしない。実態として市場では指定価格を超えた値段でやり取りされているケースも多く、消費者の実感とのズレが生じている。
タイ農業経済局の統計では、物価上昇率は2026年第1四半期に前年比4%超に達しており、食品価格がその大きな牽引役になっている。農村部の低所得世帯では食費が家計の4〜5割を占める家庭もあり、食品値上がりの影響は都市部より地方部に重くのしかかる。
