タイのデジタル経済社会省は、中東情勢による海底ケーブルへの被害がタイのインターネット接続に影響していないと発表した。タイ国営通信会社NT(National Telecommunications)は複数の地域にわたる国際インターネット網の冗長化体制を持っており、シンガポール、香港、米国、欧州など複数の経由地を確保していることが強みとなっている。
中東周辺の海域は、欧州・中東・東アジアを結ぶ複数の海底光ケーブルの経路上に位置している。2022年には紅海付近での海底ケーブル切断事故が発生し、一部の通信サービスに影響が出た前例があるため、今回の中東情勢悪化に伴うリスクへの関心が高まっていた。
デジタル省とNTはケーブル被害が実際に発生した場合の対応計画(BCP)の準備を進めるよう指示した。具体的には、被害を受けたルートから迂回路に自動的に切り替えるネットワーク経路の再設定、複数の国際ゲートウェイへの分散接続の強化、そして被害発生時の顧客向け情報提供体制の整備などが含まれる。
タイはインターネットと通信インフラの整備を経済成長の基盤として重視しており、2025年以降の「デジタル経済5か年計画」の中でも通信インフラの冗長性強化が柱の一つとなっている。海底ケーブルはASEAN域内の通信の大動脈であり、単一ルートへの依存を避けた分散型のネットワーク構成が採用されている。
タイの一般消費者にとっては、日常のSNS・動画ストリーミング・ビジネス通信への影響が最も身近な関心事だ。今回の発表はそうした懸念を払拭するものとなり、現時点では通常のサービス利用に支障がないことが確認された。ただし中東情勢が長期化・深刻化すれば、海底ケーブルへの影響が将来的に生じる可能性も排除できないため、継続的なモニタリングが求められている。