ラヨーン県バーンカーイ郡のカーイルアスアッ交差点(通称・ボーイスカウトキャンプ十字路)で2026年3月23日午前7時ごろ、工場員を乗せた6輪トラックのブレーキが故障し、赤信号を突破して住宅に突っ込んだ。乗員と周辺の人々を合わせて20人が負傷し、現場は一時大混乱に陥った。
事故の経緯
バーンカーイ警察署の副警察官スルーチェート・テープチャーリー氏が現地の報告をまとめた。問題のトラックは工場労働者を輸送する定期便で、ラヨーン工業団地に向かう途中だった。制動系統が突然作動しなくなり、交差点の赤信号を突き破ってそのまま路肩の民家に激突した。
現場に駆けつけたのはバーンカーイ病院の当直医師と救急救助隊、ノンラーロック区の防災ボランティアだ。トラックは正面が大破し、縁石を乗り越えた先の民家にめり込む形で停止した。周辺に駐車していた乗用車数台も巻き添えを受けた。
負傷者の状況
負傷者20人のうち、重傷者は数人で残りは軽傷だった。全員がバーンカーイ病院に搬送されて治療を受けた。命に別状はないとされているが、正面から衝突を受けた乗員の一部は骨折や打撲で入院を要した。
車両と道路の問題
この地点はバーンカーイ郡内では比較的交通量の多い幹線交差点だ。工場地帯への送迎バス代わりに使われる6輪トラックは、荷物ではなく人員輸送に転用されるケースが多く、座席構造の安全基準が乗用車より低い点が問題視されてきた。ブレーキの定期点検が義務付けられているにもかかわらず、整備不足の車両が稼働し続けている実態がある。
ラヨーン県はタイ東部工業回廊(EEC)の中核をなす工業県で、マプタプット工業団地などに数十万人の工場労働者が勤務している。工場への送迎手段として旧式の改造トラックが依然多く使われており、定期的に整備不足による事故が報告されている。
タイのトラック事故の背景
タイ交通事故調査機関のデータによると、2025年に発生した大型車両関連の死傷事故のうち、約30%がブレーキや操舵系統の整備不良に起因すると分析されている。山道の多い北部と東北部では転落事故が多いが、平坦な工業地帯でも交差点への突入事故が後を絶たない。
政府は車両定期点検の電子化と陸運局への報告義務強化を検討しているが、法改正には至っていない。今回の事故を機に、工場地帯での送迎車両に対する安全基準の見直しを求める声が地元から上がっている。