タイ法務大臣と国家警察副長官は2026年3月22日、アヌティン首相の指示を受けて燃料密輸の全国取り締まり体制を強化した。国家警察は「チャイジンダー」号などの警備艇を沿岸に展開し、タイ領海内での密輸船の取り締まりを大幅に強化している。
取り締まりの背景
2026年3月の燃料危機を受け、国内外での燃料の横流し・密輸が急増していた。高値になったタイ国内の燃料を国外に不法に売り抜けるルートと、外国から安価な燃料を無関税で持ち込む逆ルートが確認されていた。
特に問題とされたのはタイ湾とアンダマン海での海上密輸だ。カンボジア・ミャンマー・マレーシアとの国境近くを船が行き来し、大量の燃料を密かに取引するケースが摘発された。3月11日には国家警察が「チャイジンダー」号による海上取締りを強化したことが発表されていた。
閣僚・警察幹部の役割分担
法務大臣(プル・タッチャイ・ピッタナラブット氏)は燃料密輸の取り締まりに法務省管轄の機関(矯正局・保護観察局の転用)を充てることを検討し、他省庁との連携を進めた。国家警察副長官(タッチャイ・ピータニラブット大将)は実際の捜査・摘発を統括し、全国の水上警察・沿岸警備隊と調整した。
会議はスムットプラーカーン県の水上警察本部で開催され、各地の捜査状況を共有した。
密輸の手口と摘発事例
燃料密輸の典型的な手口は、小型船舶やタンクローリーを使った夜間の輸送だ。伝票を偽造して「国内配送」を装い、実際には国境を越えて販売するケースも摘発されている。3月末には海上で790万リットルの燃料が漂流しているのが発見され、タンクローリー662台が配送先を偽装していたことも判明した。
燃料価格差が大きいほど密輸のメリットが増す。タイとカンボジア・ミャンマーの価格差が10〜20バーツ/Lに広がった局面では、大規模な密輸が採算に合うため取り締まりは急務だった。