タイ北部チェンマイ県のチェンマイ第3バスターミナル(通称アーケード)で5月14日、覚醒剤(ヤーバー)180万錠を機内持ち込みサイズのスーツケースに詰め、長距離バスに積載しようとしていた男女3人組が現行犯逮捕された。容疑者は全員タイ南部トラン県出身で、北部の生産拠点から南部・首都圏方面への大量輸送ルートが摘発された形だ。180万錠という規模は、ここ最近の単一摘発の中でもとくに大きい部類で、組織犯罪の根本にメスを入れる手がかりになる事案だ。
メーピン警察と軍の合同作戦、第3ターミナルで踏み込み
タイ警察メーピン署、軍、関連機関の合同部隊が5月14日、チェンマイ市ムアン郡ワットケート町にある「チェンマイ第3バスターミナル(アーケード)」で踏み込み作戦を実施した。きっかけは、バスターミナル職員からメーピン署無線への通報。「乗客3人の荷物の中に麻薬らしき物体が入っている」との内容で、警察パトロールと捜査班が即座に現場へ急行した。
押収はヤーバー180万錠、スーツケース型キャリーバッグに
警察が確保した3人組(男2、女1)の所持品から押収されたのは、ヤーバー(覚醒剤錠剤)合計180万錠。すべて市販のスーツケース型キャリーバッグに詰められており、外見上は通常の旅行荷物として偽装されていた。長距離バスでの大量輸送は、車両への積載量の大きさと、検問が空港より緩い構造を悪用する古典的な手口だ。
容疑者3人はトラン県出身、ナッタポン26歳、スラサック43歳ほか
逮捕された3人は、ナイ・ナッタポン氏(26歳)、ナイ・スラサック氏(43歳)、女性1人(氏名未公表)。いずれもタイ南部トラン県の出身で、北部の麻薬生産・中継拠点から南部方面へヤーバーを運搬する役割を担っていたとみられている。警察は「運び屋」型の末端の関与者と、その上の組織者層の特定に向けて、捜査を継続する方針だ。
北部から南部・首都圏への大量輸送ルート
タイの覚醒剤密輸ルートは、ミャンマー国境(メーソート、メーサイ等)からチェンマイ・チェンライを経由してバンコク・南部へ流れる構造が定着している。北部の生産拠点から長距離バスでの大量輸送は、検問のレベルが場所によって差があるため、犯罪集団が複数ルートを使い分けることで対応している。今回の180万錠摘発は、この輸送網の一端を断ち切ったケースだ。
バスターミナルの監視体制が成果を出した形
注目すべきは、ターミナル職員が異常を察知して警察に通報した点だ。タイの長距離バスターミナルでは、貨物の積載前に荷物の重さ・形状・客の振る舞いを観察するノウハウが運用されてきた。今回のように現場の職員が違法物の存在を見抜いて通報する流れは、警察の単独捜査では検挙できない事案を救う重要な仕組みになっている。
在タイ日本人観光客が留意したいこと
直接巻き込まれる場面はないが、長距離バスでの大量摘発が増えると、観光客の荷物検査時間も比例して長くなる傾向がある。チェンマイ・バンコク間の夜行バス、チェンマイ・パイ・メーホンソーン間のミニバン等を利用する場合、出発時刻に余裕を持つことが現実的な備えだ。