タイ・チョンブリー県パントン郡の森で5月14日、ミャンマー人の21歳男性アン・ティアード・ウー氏が首吊り遺体で発見された。前日の夕方、仕事を終えた後にオンラインスロット賭博で口座の全財産を失い、ストレスで自宅を飛び出して一晩失踪、翌朝近隣住民が森で発見するまで誰も連絡が取れていなかった。タイ国内で深刻化するオンライン賭博と移民労働者の精神的孤立が交差した、痛ましい事件だ。
5月14日朝、卵蟻採取に来た住民が発見
事件はチョンブリー県パントン郡マブポン町ムー7の荒地で発生した。5月14日午前、卵蟻(タイの伝統食材)を探しに来ていた地元住民が、森の中の大木「コキイレック」の枝から吊り下げられた人物の遺体を発見、パントン警察と民間救助団体「ダンマラスミ・マニラット」に通報した。森への侵入は約100メートル、茂みが深い場所だった。
ミャンマー人労働者アン・ティアード・ウー氏21歳
死亡が確認されたのは、ミャンマー国籍のアン・ティアード・ウー氏(21歳)。チョンブリー県内で労働に従事していた移民労働者で、兄も同地域に在住していた。通訳を介した兄の証言によると、5月13日朝に弟と日常会話を交わし、互いに仕事に向かったところまでは普通だったという。
17時に仕事終了→オンラインスロットで全口座空
兄の証言の核心は、弟がその日17時に仕事を終えてから起きたことだ。アン氏は自室で寝そべりながらオンラインスロット賭博を遊び、口座の全財産を失った。激しい怒りとストレスに襲われた末、何も告げずに部屋を飛び出して、その夜は一切連絡が取れない状態が続いた。
兄は「友人宅で頭を冷やしているのだろう」と推測
兄は当夜、弟がきっと友達の家で気持ちを落ち着かせていると思い、それ以上の捜索を行わなかった。翌朝、近隣住民から「森で人が死んでいる」との連絡があり、初めて事態の深刻さを知る形になった。タイ警察は遺体をパントン病院に搬送、検視を行った後、宗教葬儀のため家族へ引き渡す予定だ。
オンライン賭博と移民労働者の精神的負荷
タイ国内で深刻化するオンライン賭博(スロット、バカラ、UFABET系のサッカー・カジノ・スポーツベッティング)は、若年層・移民労働者を中心に依存・破産・自殺のケースを生んでいる。ミャンマー、カンボジア、ラオスからの移民労働者は、孤立した生活環境とストレス発散先の少なさから、オンライン賭博に逃げ場を求めやすい。家族・友人のいる地域外に出稼ぎする生活で、精神的サポートも届きにくい構造的問題が背景にある。
在タイ日本人にとっての含意
直接巻き込まれる事件ではないが、自宅・職場で雇用しているメイド・運転手・現地スタッフが、オンライン賭博の沼にハマっている可能性は決して低くない。給与日直後の急な無断欠勤、金銭トラブル、借金相談などのサインに敏感になり、必要に応じてカウンセリングや家族との接続を案内することが、雇用主としての配慮になる。タイ警察も繰り返しオンライン賭博違法サイトの遮断を続けているが、根本解決には至っていない。