タイの通信放送通信委員会(NBTC)は5月14日、プリペイド携帯電話番号の自動延長新ルールを発効した。残高があるが利用期限が切れた利用者に対し、自動的に3バーツ(VAT別)を引き去って利用期間を30日延長、最大6回連続で180日まで番号を維持できる仕組みだ。観光客向けSIMを除く全プリペイドユーザーが対象で、在タイ日本人の中でプリペイド回線を使っている駐在員・短期滞在者にも直接関係する制度変更だ。
NBTC正式発効、副事務局長代行が説明
NBTC(タイ通信放送通信委員会)の副事務局長代行を務めるトライラット・ヴィリヤシリクン氏が、5月14日に正式発効した「プリペイド携帯電話の番号維持に関するNBTC告示」を説明した。これは、プリペイド利用者の通信権を保護することを目的とした規制で、「うっかり残高を切らした結果、番号そのものを失う」事態を防ぐ仕組みとなる。
仕組み:自動3バーツ徴収で30日延長、最大6回180日
新ルールの仕組みは次の通り。
- 利用期限が切れる3日前から、自動延長サービスが起動
- 1回あたり3バーツ(VAT別)が残高から自動的に引き去られる
- 引き去りごとに利用期間が30日延長される
- 最大で6回連続適用、合計180日まで延長可能
- 観光客向け(Tourist-SIM)は対象外
この仕組みの結果として、海外出張・帰国・長期入院などで一時的にチャージできない期間が続いても、番号自体は半年間維持される計算だ。
対象は全プリペイドユーザー(観光客SIM除く)
新ルールは、AIS、True、dtacなどタイ国内の主要キャリアが提供するプリペイドサービス全てに適用される。観光客向けの短期間SIMだけが除外される構造で、それ以外の長期プリペイド利用者は全員、今日から自動的にこの新規制下に入る形だ。利用者側からの申請・オプトイン手続きは不要で、デフォルトで適用される。
在タイ日本人駐在員・出張者の影響
タイで日本人駐在員の多くは月額契約のポストペイド(PostPaid)を使っているが、配偶者の予備SIM、子どもの連絡用、現地スタッフの社用端末、来訪客への一時貸与SIMなどでプリペイドを併用するケースは少なくない。今回のルールでは、こうした「あまり使っていないが残しておきたい」プリペイド番号が、半年間自動で維持される。逆に言えば、月3バーツ×6回=18バーツが自動で消費されるため、「もう不要」と判断した番号は早めに解約しないと、半年分の残高が削られる場面も出る。
観光客の短期滞在用SIMは対象外
タイへの短期滞在で観光客がよく購入する「Tourist-SIM」(観光客向け7-30日プランの専用SIM)は、今回の新ルールの対象外だ。これは「番号維持を必要としない一時利用」を前提にした設計で、もともとの仕組みが「使い切ったら捨てる」構造になっているためだ。観光・出張で来タイする家族・友人に伝える場合は、「Tourist-SIMには関係ない」と説明すれば十分だ。
タイの通信規制の方向性
NBTCはここ数年、通信事業者と消費者の関係を整える規制を断続的に打ち出してきた。今回のプリペイド番号維持ルールも、「事業者の解約権」と「利用者の番号保有権」のバランスを取る措置の一環。今後の続報として、SMS詐欺対策、AIS・True統合後の競争政策、5G普及策など、通信業界全般の規制動向にも注目したい。