タイ保健省(สธ.)のパッタナー・プロムパット大臣は5月14日、「地域看護ボランティア(อสพ. / อาสาพยาบาลชุมชน)」の養成プロジェクトを発表した。月給15,000バーツ(約7万3,000円)で1郡(タンボン)に1人を配置、6月から研修を開始し7〜8月には実地配属に入る計画だ。地方の医療サービス負担を軽減する地域支援の仕組みで、在タイ日本人駐在員家庭の現地メイド・ベビーシッター・運転手の家族の医療アクセスにも関わる話題だ。
5月14日経営会議で発表、月給15,000Bで1郡1人
パッタナー保健大臣は、保健省の第4/2569経営会議の後の取材で、地域看護ボランティアプロジェクトの概要を明らかにした。月給15,000バーツ(約73,000円)で、タイの行政区分単位の「タンボン(郡/町)」ごとに1人の看護ボランティアを配置する計画だ。プログラムの目的は、地方部の医療サービスの過剰負担を緩和し、住民が身近な看護サポートを受けられるようにすることにある。
6月研修開始、7-8月実地配属
具体的なスケジュールとしては、6月(พ.ย./2569の6月)に最初の養成研修を開始し、7-8月にかけて実地配属を進める。タイ全土のタンボン数は約7,000弱あるため、最終的には数千人規模の地域看護ボランティアが地方部の医療を支える体制が構築される見通しだ。
WHA参加とWHO事務局長候補推薦も並行議論
同会議では、地域看護ボランティアプロジェクト以外にも、複数の重要議題が話し合われた。ラチャブリー県へのソムデット・プラサンカラート病院設立、世界保健総会(WHA)への参加準備、医師(インターン)の地方研修配置などだ。特に注目されたのは、内閣がWHO(世界保健機関)新事務局長候補としてタイ人を推薦することを承認した点で、現職テドロス・アダノム・ゲブレイエス事務局長の任期交代に合わせた動きとなる。
タイ地方医療の構造的課題に対応
タイの地方医療は、首都圏と地方部の専門医師・看護師の偏在が長年の構造的課題だ。タンボン単位での「地域看護ボランティア」配置は、軽症の相談・予防教育・健康診断のフォローなど、基本的な看護機能を地域住民が手の届く範囲で受けられるようにする狙いがある。月給15,000バーツは地方部での給与水準としては低くないが、看護師資格の前段階に位置するボランティア職としての設定とみられる。
在タイ日本人にとっての見え方
直接の雇用関係ではないが、現地メイド・ベビーシッター・運転手・現地スタッフの家族の医療アクセスに関わる制度変更だ。雇用しているスタッフが「家族が地方部に住んでいて医療がない」と相談してきた場合、今回の地域看護ボランティア配置の動きを案内するのも、雇用主としての気配りになる。タイの医療制度は、UCS(公的健康保険)、社会保険、私的保険の3階層で動いているが、現場の医療アクセスを支える看護人材の整備は、これらどの保険でも前提となる重要な基盤だ。