タイ政府は、2024年7月から93か国の国民に与えていた「60日ビザフリー入国」を終了し、30日に短縮する方針を確定した。観光・スポーツ省と外務省が5月14日までに方針を確認、来週の閣議審議にかける段取りを進めている。観光客を装って長期滞在する犯罪者の流入を防ぎつつ、「質の高い観光客誘致」へ舵を切る政策転換だ。在タイ日本人駐在員の親族訪問・出張・観光客の知人受け入れの際の滞在計画にも直接影響する大きなニュースだ。
60日→30日へ、対象は93か国
The Thaigerなどタイの英字メディアが5月14日に伝えたところによると、タイ政府は93か国に与えていた60日のビザフリー滞在を、30日に半減させる方針を固めた。タイの観光・スポーツ省と外務省が方針を確認しており、来週中に閣議に提案・承認を求める流れになっている。シーハサック・プアントケトコー外務大臣が5月13日に方針を表明した形だ。
2024年7月導入の政策、犯罪者の流入懸念で見直し
60日ビザフリー入国は、2024年7月から始まった比較的新しい施策だった。観光客誘致と長期滞在型ノマドワーカーの受け入れを狙ったものだが、運用後の検証で「観光客を装って入国し、不法滞在で犯罪行為に手を染めるケース」が増加していることが明らかになり、見直しの議論が2026年初頭から続いていた。
観光客の平均滞在は9日強、最長はノルウェー21日
タイ政府の分析によると、長期滞在型・短期滞在型を含めた外国人観光客の平均滞在日数は「9日強」。最長の平均滞在を示したのはノルウェーの21日で、いずれも60日のビザフリー枠を必要としていない実態が浮かび上がった。「30日あれば一般的な観光・出張で十分」というのが政府の判断だ。
対象国も93→57へ縮小の可能性
2026年2月以降の閣議議論では、ビザフリー対象国そのものを93か国から57か国程度に縮小する案も並行して検討されてきた。今回の30日化と並行して、対象国リストの見直しも行われる可能性が高い。パーコン・ニラプラパント副首相を主導とする労働部会が5月12日の閣議で発足、ビザ全般のレビューを進めている。
日本人観光客・駐在員への影響
日本は従来から30日のビザフリー入国対象だったが、2024年7月の60日拡張以降は日本も含まれる形になっていた。今回の30日化が日本に適用される場合、家族・友人がタイに観光で来る際の滞在計画が「30日以内」に戻る形となる。長期滞在で来タイする場合は、ビザ申請(観光ビザTRや無償ビザ)の準備が必要になるだろう。在タイ日本人駐在員にとっても、家族の訪問計画・夏休みのゲスト受け入れ・年末年始の親族滞在などで、30日縛りを意識する必要が出てくる。
「観光地への信頼回復」と「質の高い観光客誘致」
政府の打ち出す「質の高い観光客誘致」は、単なるスローガンではなく、フリードムビーチでの不法侵食事件、パンガン島の外国人ノミニー摘発、パタヤでの中国人ポーカー賭博16人逮捕など、最近の事件報道とも連動した政策だ。長期ビザフリーを利用した「観光客装い→違法行為」の構図を遮断することで、タイの観光ブランドを健全化する狙いがある。閣議審議と最終決定の続報には注目したい。