タイ・カンチャナブリー県の国境地帯で5月14日までに、ミャンマー側のオンライン詐欺(スキャマー)拠点向けと見られる発電機・電気制御機材を積んだトラック3台が摘発された。押収機材の総額は約1,000万バーツ(約4,870万円)相当。タイ国境を通じてミャンマー側の犯罪インフラを支える「裏物流」の現場を、軍特殊任務部隊が押さえた事案だ。在タイ日本人にとっても、SNS・電話越しに迫り続けるスキャマー詐欺の発生源を知る手がかりになる。
摘発場所はサンクラブリー郡、ミャンマー国境のバーン・ボーイ
摘発を行ったのは、タイ陸軍の「スラシー部隊」傘下のラッドヤー機動部隊(ฉก.ลาดหญ้า)。カンチャナブリー県サンクラブリー郡の国道323号沿い、ミャンマー国境のバーン・ボーイ集落付近にチェックポイントを設置し、3台の貨物トラックを止めた。検査の結果、車内からは大量の電気制御ボックスと、中国語表記の入った大型発電機が見つかり、いずれも通関書類は添付されていなかった。
押収機材の総額は1,000万バーツ相当
押収されたのは、複数の電気制御ボックスと大型発電機。発電機本体には中国語表記があり、明らかに中国系メーカーの製品とみられる。総額は約1,000万バーツ(約4,870万円)に達した。トラック3台が同時に同方面へ走っていたことから、組織的な定期供給ルートが確立されていた可能性が高い。
容疑者4人、「1回12,000バーツの運送依頼」と供述
逮捕されたのはトラックの運転手ら4人。氏名はサラサック(30歳)、チャナ(33歳)、スダナン(42歳・女性)ほか1人。運送会社から「1配送あたり12,000バーツ」(約58,400円)の報酬で雇われたと供述しており、自身は中身の最終用途を把握していなかった可能性もある。タイ警察と軍は積荷の発注元、運送会社、ミャンマー側受け取り先までを含めた裏ネットワークの全容を調べている。
行き先はミャンマー「ピャ・タウン・スー」、スキャマー拠点が再集結
軍と治安当局の見立てでは、これら機材の最終目的地はミャンマー側の「ピャ・タウン・スー」と呼ばれる地区。国境からわずか約300メートルの場所で、近年、中国系犯罪組織とオンライン詐欺(スキャマー)グループが拠点を移してきたエリアだ。発電機は違法オンライン賭博やロマンス詐欺、投資詐欺などの常時運営に必要な電源として使われるとみられている。当局はピャ・タウン・スー周辺で、国境から30キロ以上奥地にまで拠点が拡大している兆候もつかんでいる。
在タイ日本人が頭に入れておきたい点
タイ・ミャンマー国境のスキャマー問題は、在タイ日本人にも無関係ではない。日本人駐在員・観光客が標的にされるロマンス詐欺・投資詐欺・偽銀行詐欺の運営拠点が、まさに今回の発電機の行き先のような場所に集中している。タイ警察と軍が継続的に「電源・通信機材の流入」を遮断していく取り組みは、結果として詐欺被害の抑制に直結する。日本人として怪しい連絡を受けた際は、まず家族・職場・大使館領事部に相談する姿勢を維持したい。