タイのアヌティン・チャンウィラクン首相が5月13日午後、パンガン島で「海岸は国民すべての公共財だ」と明言し、外国人による不法占有を排除して島の秩序を回復する方針を住民に示した。会場はスラタニ県コ・パンガン郡のコ・パンガン・スクサ学校。先日来繰り返されてきたパンガン島の外国人ノミニー摘発の流れを受け、首相が自ら現地に入って発言した形で、観光地として再起する方向性を打ち出した。
14時40分、コ・パンガン・スクサ学校で初の現地視察
アヌティン首相(内務大臣兼任)は5月13日14時40分、コ・パンガン郡のコ・パンガン・スクサ学校で行われた住民集会に出席した。首相は「パンガン島への訪問は今回が初めて」と述べ、外国人による違法ビジネスの取締りと、その先にある住民の生活再建を中心テーマに据えた。
「観光客は善意で来るべき」と海岸の公共性を強調
首相は会場で「海岸は国民すべての公共財産だ」と踏み込んだ。観光客の入域そのものは歓迎するが、「観光と休息のために来てほしい。地元住民の仕事を奪うために来るのではない」と述べ、ゾーニングで便宜が認められたエリア以外で誰かに「代行」させて事業を行うことを許さないと明言した。土地配分も「特定の集団や特定の会社の利益のためではなく、住民全体の利益のため」とした上で、目的を逸脱する利用には政府として同意しないと釘を刺した。
インフラ整備でパンガン島の「自立」を支援
首相は政策面でも複数の指示を打ち出した。住民が困っている水源問題への対応、電力供給の安定化、これらインフラ改善を通じて「パンガン島が自身の足で立てる」状態を作る、という。「もしパンガン島が秩序を取り戻せないなら、それは政府の業務の失敗だ」と述べ、住民が安心して所得を得られる環境作りに政府が責任を持つ姿勢を示した。
通報の呼びかけと「品質観光都市」の手本へ
首相は最後に、住民や事業者に対して「違法行為や地域への損害行動を見つけたら、恐れずに当局に通報してほしい」と協力を求めた。地元住民こそパンガン島を最も大切に思っている存在だとし、政府はその利益を守ると同時に、パンガン島を「品質観光都市」のモデルへと育てる方針を示した。今後、ここでの取り組みを全国の観光地に水平展開する形まで視野に入れているという。
在タイ日本人にとっての見え方
パンガン島はフルムーンパーティで世界中の若者を惹きつけてきた半面、現地住民の生活や環境への影響、外国人による土地・店舗の「ノミニー」(名義貸し)を介した支配などが長年問題視されてきた。今回の首相発言は、外国人観光客全般を排除するものではなく「便利を装って地元の経済を奪う構造を許さない」という方向だ。日本人観光客や長期滞在者にとっても、ゾーニング規制やビジネスの合法/非合法の境界が今後より厳格に運用される可能性が高い、と理解しておくのが現実的だ。