タイ国際航空(THAI)は7月1日、バンコクとオランダのアムステルダムを結ぶ直行便の運航を再開した。この区間の直行便が復活するのは1998年以来、およそ28年ぶりとなる。最新鋭機のエアバスA350-900を投入し、毎日1往復を運航する。スワンナプーム空港では就航式典が開かれ、チャイ・エームシリ最高経営責任者(CEO)らが出席した。かつて人気を集めた欧州路線の一つが、四半世紀を経てよみがえった格好だ。
毎日運航、バンコク発は早朝4時30分
公表された運航ダイヤは、バンコク発が午前4時30分、アムステルダム着が同じ日の午前11時15分。復路はアムステルダムを午後2時に出発し、翌朝午前6時20分にバンコクへ戻る。早朝発の設定は、欧州の主要空港へ昼前に到着し、その日のうちに各都市へ乗り継ぎやすいダイヤを意識したものとみられる。使用するA350-900は、タイ航空の長距離路線で主力となっている新型の広胴機で、燃費効率の高さが特徴だ。同社は運航効率と環境負荷の低減の両立を掲げており、欧州長距離線への同型機投入もその方針に沿う。就航式にはチャイCEOのほか、キティポン・サーンソムバット最高商務責任者(CCO)ら幹部や招待客が顔をそろえた。
欧州ネットワークは12都市に拡大
アムステルダム線の復活により、タイ航空の欧州就航地は12都市に広がった。すでにフランクフルトとロンドン・ヒースローには1日2便を飛ばし、ブリュッセル、コペンハーゲン、イスタンブール、ミラノ(マルペンサ)、ミュンヘン、オスロ、パリ(シャルル・ド・ゴール)、ストックホルム(アーランダ)、チューリヒへも毎日運航している。オランダは欧州の物流やビジネスの要衝で、観光に加えて出張需要も見込める路線だ。アムステルダムのスキポール空港は欧州有数のハブ空港であり、ここで乗り継いで欧州各地へ向かう利用者も多い。バンコクは東南アジアと欧州を結ぶ乗り継ぎ拠点の一つで、路線網の拡充は、日本を含むアジア各地から欧州へ向かう旅行者の選択肢を増やすことにもつながる。
28年の空白と経営再建
直行便が途絶えていた1998年前後は、アジア通貨危機でタイの航空需要が大きく落ち込んだ時期にあたる。その後の四半世紀で、タイと欧州を行き来する人の流れは大きく様変わりした。コロナ禍前のタイ航空は欧州に広い路線網を持っていたが、深刻な経営難に陥り、事業再生手続きの下で路線や人員の大幅な見直しを迫られた。そこから立て直しが進み、2026年第1四半期には約101億バーツ(約490億円)の純利益を計上している。四半期の黒字はコスト構造の見直しと需要の回復が寄与したとみられ、アムステルダム線の再開は、縮小した路線網を復元へと向かわせる象徴的な一歩といえる。
バンコク経由の長距離移動が便利に
欧州の主要都市を直行で結ぶ路線がそろってきたことで、バンコクを起点とした長距離移動の利便性は着実に高まっている。アジアと欧州の間を移動する際、乗り継ぎ地として使いやすい空港が増えることは、旅行者にとって運賃やスケジュールの選択肢が広がることを意味する。日本の旅行者にとっても、バンコクでの乗り継ぎは欧州方面への有力な選択肢の一つであり続けている。タイ航空が再建局面から本格的な成長局面へ移れるかどうかは、こうした新規・再開路線の需要が今後どこまで伸びるかにかかっている。



