日産自動車のタイ法人が、7人乗りミニバン「セレナS-Hybrid(C27型)」を対象に、27万バーツ(約131万円)引きの特別価格を打ち出した。通常146万9,000バーツの車両が、119万9,000バーツ(約583万円)になる。ただし対象は法人や企業向けで、台数も限られる。
27万バーツ引き、ただし法人・企業向け
今回の特別価格は、誰でも受けられる値引きではない。対象は企業や法人といった組織での購入で、そのほか所定の条件を満たす場合に限られる。さらに台数も限定されており、いわば在庫のあるうちの早い者勝ちだ。 価格は通常の146万9,000バーツから119万9,000バーツへ、ちょうど27万バーツ(約131万円)の引き下げとなる。日産タイランドの保証も付き、車両本体は3年または10万キロの品質保証、加えて一定期間の自動車任意保険(車両保険を含む1型)が無料で付帯する。法人がまとめて社用車を導入する際には、まとまった額の節約になる内容だ。
セレナS-Hybridはどんなミニバンか
セレナは、日産が長年手がけてきた人気ミニバンである。今回タイで特価の対象になっているのはC27型と呼ばれる世代で、2.0リッターのガソリンエンジン(最高出力約150馬力)に、S-Hybridと呼ばれる簡易的なハイブリッド機構を組み合わせる。小さなモーターがエンジンを補助する仕組みで、燃費は1リットルあたり約14.2キロとされる。 室内は3列シートの7人乗りで、両側のスライドドアやパワーバックドアを備える。1列目と2列目にはゆったりとしたキャプテンシートを採用し、10.1インチの大型タッチスクリーンや、360度カメラを含む先進運転支援機能も搭載する。全長4,770ミリ、全幅1,740ミリ、全高1,865ミリと、取り回しと室内空間のバランスを取ったサイズだ。
なぜタイでは高いのか、日本との違い
気になるのは価格だろう。特価でも119万9,000バーツ、日本円にしておよそ583万円というのは、ミニバンとしてかなり高い。理由は、この車がマレーシアで生産された完成車(CBU)を輸入している点にある。タイは国外で組み立てられた完成車に高い税金をかけるため、輸入ミニバンの価格は大きく跳ね上がる。 さらに、タイで売られているのは一世代前のC27型だ。日本ではすでにフルモデルチェンジしたC28型が販売され、より新しいe-POWERを積む。タイの市場には、東南アジア向けにマレーシアで作り続けられるC27型が回ってきている形である。日本では庶民的なミニバンという印象のセレナが、タイでは輸入車ならではの価格になる点は、日本から来た人ほど意外に感じるかもしれない。
装備と使い勝手、価格に見合うか
装備面では、ミニバンとして実用性の高い内容がそろう。両側のスライドドアは狭い駐車場や送り迎えの場面で扱いやすく、パワーバックドアやLEDのヘッドライト・テールランプも備える。運転席まわりには7.1インチのメーター表示と10.1インチのセンターディスプレイが並び、長距離でも疲れにくいゼロ・グラビティ思想のシートを採用する。燃費は1リットルあたり約14.2キロとされ、満タンでおよそ850キロを走れる計算だ。地方への出張や家族での遠出にも向く。 もっとも、最新のe-POWERのような力強い電動走行や、完全な電気自動車のような静粛性を求める人には物足りなく映るかもしれない。あくまで扱いやすさと信頼性を重視した、堅実なミニバンという位置づけである。
近年のタイでは、社用車や送迎車として日本ブランドのミニバンを選ぶ企業が依然として多い。耐久性や下取り価格の安定が評価されているためだ。今回のセレナの特価も、まさにこの法人需要を狙ったものといえる。
タイのミニバン市場では、トヨタのアルファードやヴェルファイア、ホンダのオデッセイといった日本勢に加え、近年は中国メーカーのEVバンも攻勢を強めている。今回の大幅な特価は、前型となったC27セレナの在庫を整理する動きとも受け取れる。法人需要を取り込みつつ、次の世代へ橋渡しする一手といえそうだ。





