タイ政府が、サッカーのワールドカップ2026を前に、オンライン賭博への取り締まりを強化している。政府は、賭博に関連するウェブサイトやSNSのURLを63万件以上遮断したと明らかにし、賭博を誘うコンテンツを投稿するインフルエンサーにも警告を発した。
8カ月で63万件超のURLを遮断
タイ首相府の副報道官は、ワールドカップ2026の開幕を前に、オンライン賭博の取り締まりを進めていると発表した。これまでに遮断したURLは63万件を超えるという。警察の集計では、2025年10月から2026年5月20日までに、フェイスブックやLINE、TikTokなどで賭博に関連する71万7,000件あまりのリンクやページが遮断されたとされる。タイでは公営の宝くじや一部の競馬などを除き賭博は法律で禁止されており、オンラインカジノやスポーツ賭博は違法である。
ワールドカップ商戦に乗る賭博サイト
取り締まり強化の背景には、ワールドカップが賭博熱を一気に高めるという懸念がある。警察は、大会に絡む賭博の動きを注視し、スポーツ賭博を宣伝するサイトやSNSアカウントを速やかに削除するよう指示を受けているという。4年に一度の大舞台は、世界中で観戦の盛り上がりを生む一方、違法な賭博サイトにとっても格好の集客機会となる。タイ当局は、開幕前の段階で網を張る形で対応を急いでいる。
若者400万人が関与、インフルエンサーに警告
当局が特に問題視しているのが、若者の賭博への関与である。2026年に入ってからの数カ月で、15歳から25歳の若者400万人以上がオンライン賭博に関わったとされる。賭博サイトは、インフルエンサーやライブ配信、短い動画などを使って新規利用者を呼び込んでおり、「手っ取り早く稼げる」とうたってお金に困った人々を狙う手口も目立つという。政府は、賭博を誘うコンテンツを投稿するインフルエンサーに対し、ただちに中止するよう警告し、悪質な場合は厳しく処罰する方針を示した。
合法化に否定的なアヌティン政権
タイでは賭博の合法化をめぐる議論も続いてきたが、アヌティン首相はかねて賭博に批判的な立場をとってきた。自身が政権を率いる間は賭博の規制緩和を進めることはないと、繰り返し明言している。違法賭博の摘発を強める一方で、合法化には慎重な姿勢を崩していない。ワールドカップという大きな節目を前に、タイ政府の賭博への厳しい姿勢が改めて鮮明になった形である。