タイ入国管理局が、外国人犯罪の取り締まり成果を公表した。2026年に入国を拒否した外国人は3万人近くに上り、逮捕者は1万4,000人を超えるという。タイ警察が進める治安強化策の一環で、ビザの悪用や詐欺、不法就労などに厳しく対応している。
今年1〜5月で2万9,490人を入国拒否
入管によると、2026年1月から5月までに入国を拒否した外国人は2万9,490人に上る。公共の秩序を脅かすおそれがある人物や、違法に就労する意図がうかがえる人物、詐欺シンジケートとの関わりが疑われる人物などが対象になったとされる。タイは観光立国として多くの外国人を受け入れる一方で、入り口の段階で問題のある渡航者をふるい分ける姿勢を強めている。
1万4,000人超を逮捕、ビザ取消も
摘発も増えている。同年1月から4月までに、入管関連の法令違反で逮捕された外国人は1万4,161人に達した。また、1月から5月にかけて、ビザの目的と異なる活動をしていたとして668人のビザが取り消された。学生ビザを取得しながら実際には別の活動をしていたケースなどが含まれるという。タイ警察のキッティラット長官の方針のもと、入管局のパヌマス局長らが取り締まりを指揮している。
ブラックリストは16万9,000人超
入国を認めない「ブラックリスト」に登録されている外国人は、16万9,506人に上る。タイ国内で服役した経験がある人物や、国際刑事警察機構(インターポール)の手配対象となっている人物などが含まれる。こうしたリストとの照合によって、問題のある人物の入国を水際で止める仕組みである。
観光地を集中取り締まり
入管は、外国人による不法行為が目立つ地域を集中的に調べる「3つのNo」と呼ばれる作戦も展開している。チョンブリー県では147カ所、スラターニ県で22カ所、プーケット県で10カ所、チェンマイ県で9カ所などが対象となり、これまでに31人以上が逮捕された。チョンブリー県にはパタヤ、スラターニ県にはサムイ島と、いずれも外国人観光客や長期滞在者の多い地域が並ぶ。タイ政府は観光のイメージを守りつつ、治安の維持と外国人犯罪の抑止を両立させようとしている。
今回の取り締まり強化は、アヌティン政権が進める外国人対策の流れに沿うものである。タイ政府は、観光ビザの悪用や、タイ人名義を使った事業運営、サイバー犯罪などへの対応を強めており、入国審査や在留管理の厳格化を打ち出している。大多数の外国人にとって直接の影響は小さいとみられるが、ビザの種類と実際の活動が食い違うようなケースには、これまで以上に目が向けられることになりそうだ。