タイの金価格が6月6日朝、大きく下落した。金地金の売値は前日から1,450バーツ下がり、1バーツ(重量、約15.2グラム)あたり6万7,500バーツ(約32万8,000円)となった。装飾用の金の売値は6万8,300バーツである。1日で1,450バーツの下げは大きく、世界的な金相場の急落を映している。
米雇用統計が利下げ観測を後退させた
下落の背景には、世界的な金相場の急落がある。ロンドン市場では金が1トロイオンスあたり100ドル以上下げ、4,370ドルを割り込んで2026年の最安値をつけた。きっかけは、5月のアメリカの雇用統計である。非農業部門の就業者数が17万2,000人増と、事前予想の8万5,000人を大きく上回ったことで、アメリカの中央銀行(FRB)が利下げを急がないとの見方が強まった。金利が上がると、利息を生まない金の魅力は相対的に下がる。あわせてドル高も進み、金は売られやすくなった。
金は2026年に入って高値圏で推移してきたが、今回の急落で年初からの上昇分の多くを失った。中東のホルムズ海峡をめぐる緊張で原油高とインフレへの警戒が続いていることも、金利が下がりにくいとの見方を補強し、金の重しとなっている。短期間で大きく上下する不安定な値動きが目立っている。
金は1日で7,000円相当の値動き
今回の1,450バーツの下げは、日本円にしておよそ7,000円にあたる。タイでは金を「バーツ」という重量の単位で取引する習慣があり、1バーツはおよそ15.2グラムにあたる。金地金の売値が一晩で1,450バーツ動いたことは、金を保有する人にとって決して小さくない変化である。世界経済の指標ひとつで、タイの金相場が大きく揺れることを示した形だ。
タイの暮らしに根づく金
タイで金は、資産づくりや贈り物、さらには急な出費に備えた「現金代わり」として、生活に深く根づいている。金製品を扱う金行は街のあちこちにあり、相場が下がれば買い時とみる人もいれば、保有資産の目減りを気にする人もいる。値下がりの局面では金行に客が増えることも多い。世界の金融市場の動きが、タイの街角の金行の店先にまで伝わってくる。