タイの大手ホテル運営会社ONYX Hospitality Group(オニックス・ホスピタリティ・グループ)は2026年5月25日、九州旅客鉄道(JR九州 / 9142.T 東京証券取引所上場)のグループ会社JR Kyushu Business Development (Thailand) Co., Ltd.と合弁会社を設立し、パタヤ北部に新たなサービスアパートメント「シャマ・ノース・パタヤ(Shama North Pattaya)」を共同開発することを発表した。立地はタイ東部経済回廊(EEC)内の主要観光・経済ハブであるパタヤ北部で、サービスアパートメントの居住性と上級ホテルブランドのサービスを融合させたコンセプトの物件。両社は既にバンコクCBDのShama Lakeview Asokeで運営パートナーシップの実績があり、今回が戦略的提携の継続・拡大となる。
ONYX × JR九州、2件目のタイ案件で本格パートナーシップへ
ONYX Hospitality Groupは1965年創業のタイ最大級のホテル運営会社で、Amari(アマリ)、OZO(オゾ)、Shama(シャマ)、Oriental Residence(オリエンタル・レジデンス)、Maitria(マイトリア)といった複数ブランドを傘下に持つ。一方のJR Kyushu Business Development (Thailand)は、九州旅客鉄道(JR九州)が東南アジア事業の中核として設立したタイ法人で、不動産・宿泊事業をタイで展開している。
両社の最初のコラボレーションは、バンコクCBDのアソーク・ペッブリー地区に位置するサービスアパートメント「Shama Lakeview Asoke(シャマ・レイクビュー・アソーク)」。JR九州がオーナーとして所有し、ONYXがShamaブランドのもとで運営を担うスキームで、長期滞在の駐在員ニーズに応える代表的な物件として評価を集めてきた。
シャマ・ノース・パタヤ、ロングステイ需要を取り込む設計
新プロジェクトのShama North Pattayaは、パタヤ北部の主要観光・経済エリアに位置する。プロジェクトのコンセプトは「サービスアパートメントの快適性と利便性 + 上級ホテルブランドのサービス」の融合。日本でいうサービスマンションとシティホテルの中間に位置する形態で、月単位の長期滞在から短期出張・週末リゾートまで幅広い宿泊スタイルに対応する設計とされる。
ターゲットは、2026年以降も拡大が見込まれるロングステイ層。タイ政府のロングステイビザ(LTR / Wealthy Pensioner等)プログラムの効果もあり、欧米・日本・中国の中高年富裕層がパタヤ・チェンマイ・ホアヒン等に長期滞在する流れが続いている。Shama North Pattayaは、こうした「ホテルでは長すぎる、アパートでは寂しい」需要を狙う形になる。
パタヤ北部のEEC内立地、ビジネス需要も視野
立地となるパタヤ北部は、タイ東部経済回廊(EEC: Eastern Economic Corridor)の中心地帯に位置する。EECはタイ政府がチョンブリ・ラヨーン・チャチュンサオの3県を指定して進める産業集積エリアで、自動車・電子・航空関連の日系企業が多数進出している。観光客だけでなく、こうした日系企業の出張者・駐在員・家族の長期滞在需要も、新ホテルの主要顧客層となる見込み。
ONYXは創立60周年、55億バーツ投資計画の一環
ONYX Hospitality Groupは2026年5月、創立60周年と合わせて55億バーツ(約253億円)規模の事業拡大計画を発表した。売上目標は103.3億バーツ(約475億円)で、タイ国内・東南アジアでの新規物件開発、既存物件のリノベーション、海外パートナーとのジョイントベンチャーが計画の柱になっている。今回のJR九州との合弁は、ONXのジョイントベンチャー戦略における2件目の国際パートナー案件で、海外資本との連携モデルの確立を急ぐ動きの一環。
JR九州、タイ宿泊事業の拡大基盤
JR九州にとっても、Shama North Pattayaはタイ宿泊事業の地理的拡大の重要案件となる。これまで都心型サービスアパートメント(Lakeview Asoke)に注力してきたところ、今回はリゾート都市パタヤへ進出する形。バンコクとパタヤの2拠点を抱えることで、出張需要(バンコク)とリゾート需要(パタヤ)の両方を取り込む二極展開が可能になる。
JR九州本体は2025年度に過去最高の鉄道収益を計上した一方、海外事業の収益強化を中期経営計画で打ち出しており、東南アジア(特にタイ)が成長エンジンの一つに位置付けられている。今回の合弁は、JR九州の海外戦略の典型的なパターンとも言える。
開業時期は未定、設計詳細は今後発表
ONYXとJR九州の発表時点では、Shama North Pattayaの開業時期、客室数、投資金額、建築設計の詳細は明らかになっていない。両社は今後、プロジェクトの進捗に応じて段階的に情報を開示する方針。タイのホテル業界では、新規開業まで18ヶ月から36ヶ月の建築・許認可期間がかかるのが一般的で、2027年以降の開業が現実的なタイムラインになる見込み。