タイ東北部カラシン県の建築業者が、Facebookページ「美しい応用タイ建築」で宣伝したノックダウン住宅(プレハブ型住宅)を1棟17万バーツで販売、注文者が代金を全額振り込んだのに完成品の代わりに骨組みだけ納品される詐欺事件が発覚した。被害者は50人以上、被害総額は3000万バーツ(約1億3,800万円)を超える。スパマス・イサラパクディ大臣府担当大臣(消費者保護局SCBの担当)は5月25日、首相府で会見を開き「事案を密接にフォローし、被害者を支援する。違法行為が確認されれば刑事訴追に進める」と表明、消費者保護局(OCPB)に詳細捜査を命じた。バンコク・チェンマイ・パタヤ等で土地を確保し戸建てを建てようと考える在タイ日本人にも、SNS広告経由の業者選定リスクを警告する事案。
1棟17万バーツの広告に集まる注文、骨組みだけが届く
事案はカラシン県の建築業者がFacebookページ「美しい応用タイ建築(บ้านทรงไทยประยุกต์สวยงาม / Baan Song Thai Prayuk Suay Ngam)」で運営した詐欺型販売。Facebookページには伝統的なタイ建築様式を取り入れた美しい木造ノックダウン住宅の完成写真が多数掲載され、1棟17万バーツ(約78万円)という比較的手の届く価格設定で注文を集めていた。
被害を申し出た消費者の一人は、家族のために2棟の住宅を発注し、合計24万バーツ(約110万円)を振り込んだ。契約期限が近づいた段階で納品されたのは住宅本体ではなく、骨組み(木造の柱と梁だけの状態)だけ。Facebookページに掲載されていた完成写真とは似ても似つかない代物で、その後業者は電話・メッセージに応答しなくなった。
同様被害50人以上、3000万バーツ超
スパマス大臣の発表によると、同じFacebookページ「美しい応用タイ建築」を経由した同種の被害者は50人以上に上り、被害総額は3000万バーツ(約1億3,800万円)を超える。タイ各地から注文が集まり、振込先口座にまとまった額が流れ込んでから、納品段階で骨組みだけが届く、もしくは何も届かないというパターンが繰り返されていた。被害者は東北部のカラシン県内だけでなく、中部や南部からの注文者も含まれており、SNS広告の到達範囲を活用した広域詐欺の様相を呈している。
5/25会見、スパマス大臣がSCB(OCPB)に捜査指示
5月25日、首相府(タムニアブ・ラッタバーン)でスパマス・イサラパクディ大臣府担当大臣(น.ส.ศุภมาส อิศรภักดี / สำนักนายกรัฐมนตรี、消費者保護局SCBの担当)が会見を開いた。「カラシン県の建築業者から住宅を購入した消費者が、宣伝と全く異なる商品しか受け取れず、業者とも連絡が取れない事案について報告を受けた」「消費者保護局(สคบ. / OCPB: Office of the Consumer Protection Board)に対し、事案を密接にフォローし、被害者の救済を進めるよう命じた」「違法性が確認されれば、刑事訴追まで進める」と明言した。
契約形態は「土地に建設」、消費者保護法の対象
スパマス大臣は法的根拠として、本事案が「消費者が自身の土地の上に新築住宅を建てるために請負業者を雇う契約」に該当することを指摘した。タイの消費者保護法では、こうした請負住宅建築契約は商務省契約委員会(คณะกรรมการว่าด้วยสัญญา)の告示する標準契約の対象となっており、契約内容と異なる商品の納品、納期遅延、業者の連絡途絶などの行為は、消費者保護法違反として行政指導と刑事訴追の対象になる。
SNS広告で建築業者を選ぶ前に確認すべき4ポイント
タイではFacebookやLINE OAなどのSNSを経由した建築業者・リノベーション業者・家具製作業者の選定が一般的だが、業者の実体確認が不十分なまま振込みを行ってしまうケースが後を絶たない。バンコク・チェンマイ・チョンブリ・パタヤなどで土地を確保し戸建てを建てようと考える層に共通する落とし穴で、本事案は警告として受け止めるべき。SNSページの開設年数・実例物件の現地確認・契約書の法的レビュー・大手保険会社が引受ける建築工事保険(Construction All Risk)の付保確認、この4点の検証が、こうした被害を未然に防ぐ実用的なチェックリストになる。
被害者は消費者保護局(OCPB)へ通報を
スパマス大臣は被害者に対し、消費者保護局(OCPB)の窓口に通報するよう呼びかけた。OCPBの通報ホットラインは1166(タイ国内から)で、24時間体制で苦情を受け付けている。同事案については、OCPBが個別の被害者を集約して集団訴訟を視野に入れた対応を進める方針とされ、被害金額の回収に向けた行政・司法プロセスが動き出すことになる。