タイ最南端パッターニー県ヤラン郡で2026年5月25日午後3時半、ヒジャブを着けて女装した4人組の犯人がオートバイで学校前に駐車中の警察官夫妻を銃撃した事件で、母親に抱かれていた2ヶ月の女児も夕方までに死亡が確認された。(関連:パッターニーで女装4人組がバイクで警官襲撃、教師の妻が乳児抱えたまま車内で死亡)。犠牲者は車内で即死した母ファティーマ(プラサーン・ウィタヤ財団学校教師)と、その腕に抱かれていた2ヶ月女児の母娘2人となった。負傷した夫アドゥン警部補(ヤリン警察署所属)は病院で治療を受けている。タイ南部国境治安機構(ISOC)第4管区先遣隊は「非人道的かつ残忍な行為」と非難声明を出し、軍警察が周辺を包囲して犯人の追跡を進めている。
当初負傷とされた2ヶ月女児、夕方までに死亡
事件当日の初報段階では、警察官の妻ファティーマさん(教師)が車内で銃弾を浴びて即死し、彼女が抱いていた2ヶ月の女児は負傷したものの生命に別状はないと伝えられていた。しかし、その後病院で容態が悪化し、5月25日の夕方までに女児の死亡が確認された。母親の身体に隠れていなかった部分に複数の銃弾が当たっていたことが判明し、月齢2ヶ月という乳児期の体力ではこれを耐えることができなかった。
母娘2人の犠牲、父と兄は無事
最終的な犠牲者は、母ファティーマさん(プラサーン・ウィタヤ財団学校 / Prasan Wittaya Foundation School 所属の女性教師)と、その腕の中の2ヶ月女児の母娘2人。父親のアドゥン警部補は銃撃を受けて負傷したものの、命に別状はない状態で病院に入院している。事件当日、ファティーマさんは学校でもう一人の子供(兄)を迎えに行く前の待機時間で、車内で末娘を抱いていたところを襲撃された。学校内で授業を受けていた兄は無事だった。
犯行手口、ヒジャブで女性に変装してバイクで接近
タイ警察によると、犯人グループは4人。ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を覆うスカーフ)を身につけ、女性に変装した姿でオートバイ2台に分乗して現場に接近した。パッターニー県を含むタイ南部国境地域はマレー系イスラム教徒が多数を占め、ヒジャブを着けた女性は街中で日常的な光景。犯人グループはこの社会的死角を利用して、学校前で待機する警察官夫妻に目立たずに接近することに成功した。事件現場のプラサーン・ウィタヤ財団学校はパッターニー県ヤラン郡ポンスタ地区(Pong Sta subdistrict)に位置する。
ISOC第4管区が即時声明、「非人道的・残忍」と強い非難
タイ南部国境治安機構(ISOC: กองอำนวยการรักษาความมั่นคงภายในภาค 4 ส่วนหน้า)の第4管区先遣隊は、事件発生直後に公式声明を出した。「真昼の学校前で、乳児を抱いた女性教師を殺害し、2ヶ月の女児の命まで奪うという、人間性を完全に欠いた残忍な行為」「いかなる思想や政治目的があっても、こうした暴力は決して正当化されない」と強く非難した。ISOC第4管区はタイ南部国境3県(パッターニー・ヤラー・ナラーティワート)とソンクラー県4郡の治安維持を統括する軍直轄の特別治安機構で、2004年以降の南部国境問題への対応を担っている。
包囲・検問体制、犯人の追跡継続
事件発生後、犯人4人はオートバイ2台で現場から逃走した。タイ警察はヤラン郡周辺に治安部隊を急派し、複数の検問所を設置して逃走経路の追跡を進めている。学校周辺は事件直後から立入規制が敷かれ、犯人が使用したオートバイの目撃情報・防犯カメラ映像・薬莢の検視が並行して進められている。捜査当局は、ヒジャブによる変装の周到さから組織的襲撃と判断しており、犯人の特定と身柄拘束を急いでいる。
タイ南部国境問題、2026年も続く緊張
タイ南部国境地域では、2004年以降、マレー系イスラム教徒の分離独立を求める武装勢力BRN(バリサン・レボリューシ・ナショナル)による襲撃事件が継続している。教師・警察官・軍人など国家公務員を標的にしたゲリラ的襲撃は、現在も収まる気配がなく、2026年に入ってからもパッターニー県内で複数の襲撃が報告されてきた。今回の事件のように、家族の前で警察官夫妻を狙い、結果的に母娘2人が殺害されるケースは、タイ社会に深い衝撃と悲しみを与える事案として、国内メディアが大きく報じている。




