タイ南部ソンクラー県ハッヤイ郡で2026年5月24日夕方、生後6ヶ月の雌の子犬「ピンピン」(น้องปิงปิง)が隣家の住人に棒で殴られ、顎の骨が折れて後ろ足も使えない重傷を負った。殴打の理由は「子犬が自分の家の高価な植木を掘り返した」というもの。動物福祉団体「ザ・ホープ・ソンクラー」(The Hope Songkhla)が5月25日午前11時、ハッヤイ警察署と連携して飼い主宅を訪問、加害者にタイの動物虐待防止・動物福祉法を説明した。飼い主の家族は「治療費を裁判で争う」として支払いを拒否しており、ザ・ホープ・ソンクラーは治療費の募金活動を進めている。
5/24夕方、隣家の植木を掘り返した直後に棒で殴打
事件はソンクラー県ハッヤイ郡ハッヤイ区(เทศบาลนครหาดใหญ่)内のソイ・ラタナウティス18(ซอย 18 รัตนอุทิศ)で起きた。5月24日夕方、飼い主の父親が普段通り雌の子犬ピンピン(生後6ヶ月)を排泄のため家の外に出したところ、ピンピンが隣家の敷地に入り込み、植木を掘り返した。隣家の住人はこれに激高し、棒(木材)でピンピンを殴打。ピンピンは顎の骨が折れて口がゆがみ、後ろ足が機能しなくなる重傷を負った。掘り返された植木は数千バーツ(日本円で数万円)の高価なものだったとされる。
ザ・ホープ・ソンクラー、5/25午前にハッヤイ警察と現地入り
5月25日午前11時、ソンクラー動物福祉組織「ザ・ホープ・ソンクラー」(เดอะโฮปสงขลา)の代表ソムキット・ブガチャート(นางสมคิด บุหงาชาติ)氏とチームメンバーがハッヤイ警察署防犯課と連携し、現場のソイ・ラタナウティス18に入った。飼い主の支援と並行して、加害者である隣家の住人に対し、タイの「動物虐待防止および動物福祉法」(พ.ร.บ.ป้องกันการทารุณกรรมและการจัดสวัสดิภาพสัตว์ พ.ศ.2557)の内容を説明し、刑事責任について警告を行った。
飼い主「裁判で争うと言われて治療費もらえない」
ピンピンの飼い主は取材に対し、悲しみをにじませながら状況を説明した。「5月24日夕方、父が普段通り子犬を排泄のために外に出した。その時にピンピンが相手の家に入って、何かを掘り返してしまった。それで殴られた」「治療費の負担を求めたが、相手は『裁判で決着をつける』と言うだけで支払わない」と話している。獣医による緊急治療は既に開始されているが、顎の骨折治療と後ろ足のリハビリには相当の費用がかかる見込みで、ザ・ホープ・ソンクラーが治療費の募金を呼びかけている。
タイの動物福祉法、最大2年の懲役+4万バーツ罰金
タイでは2014年に「動物虐待防止および動物福祉法(Animal Welfare Act B.E. 2557)」が制定され、動物に対する不必要な暴力や苦痛を与える行為は刑事罰の対象となっている。法律では、動物虐待を行った者に対し、最大2年の懲役または4万バーツ(約18万円)以下の罰金、もしくはその両方が科される。今回のように棒で殴打して骨折させた行為は、明確に同法の構成要件に該当する。裁判所が事件を受理した場合、加害者の刑事責任が問われる可能性が高い。
SNSでの拡散、動物愛護家の怒り
タイ国内SNSでは、本事案が急速に拡散し、動物愛護コミュニティから加害者への強い非難が集まっている。「植木のために命を奪うのか」「6ヶ月の子犬に棒で骨を折るなんて」「治療費を払わずに裁判で逃げる態度がさらに悪質」などの声が広がっている。ザ・ホープ・ソンクラーの公式SNSアカウントには募金支援の申し出が相次いでおり、ピンピンの治療と訴訟プロセスへの関心が高まっている。
タイの動物虐待事件、刑事事件として警察が積極関与
近年タイでは、動物福祉法の認知度が上がるとともに、警察が動物虐待事件への対応を強化している。ザ・ホープ・ソンクラーのような民間動物福祉団体が警察と連携して現場に入り、加害者に法的説明を行うパターンが各地で見られるようになった。今回のハッヤイ事案でも、警察と動物福祉団体の即日連携で加害者への法的説明が実現しており、タイ社会の動物福祉意識の変化を示す事例となっている。



