バンコクで、麻薬事件の家宅捜索を受けた女性が、警察に押収品を盗まれたと訴えている。女性によると、捜索で押収された金製品や高級腕時計、現金などの一部が戻ってこなかったり、偽物にすり替えられたりしていたという。さらに、苦情を申し立てたあと、警官から「これ以上騒ぐな」と脅す電話がかかってきたとも主張している。
訴えているのは、27歳の女性チャニポンさん。6月25日、バンコクのパッタナカーン通り20付近にある自宅のコンドミニアムで、麻薬事件の捜索を受けた。この捜索で、夫のワッタナポンさん(42)が麻薬関連の容疑で逮捕され、後に懲役4年6カ月の判決を受けた(控訴中)。
チャニポンさんによると、捜索の際に押収された品には、34万バーツ(約167万円)を超える金のネックレスや、20万バーツを超える金のブレスレット、タグ・ホイヤーの腕時計を含む10本以上の時計、6万バーツの現金などが含まれていた。ところが、後に返却されたブレスレットは偽物で、いくつかの時計はなくなっていたという。警察が作成した押収品の目録には、現金は1万バーツしか記載されておらず、タグ・ホイヤーの時計も載っていなかったとされる。
チャニポンさんは弁護士に相談し、正当な扱いを受けられなかったとして助けを求めた。さらに、警官から、苦情をやめるよう脅す電話がかかってきたとも訴えている。これに対し、警視庁の管轄部門は6月5日に本人から事情を聞く予定で、捜索を担当したクロンタン署は、本記事の執筆時点で訴えに対する公式な見解を示していない。捜索で押収された品は、本来であれば一点ずつ目録に記録され、捜査の証拠として保管されたうえで、必要がなくなれば返却される。その手続きが正しく行われたかどうかが、今回の焦点となる。
押収品をめぐる警察への不信は、タイで繰り返し問題になってきた。捜索で押さえた金品が正しく記録され、きちんと返されるのか。立場の弱い側にとっては、不正を訴えても、相手が警察となれば泣き寝入りになりかねないという不安がつきまとう。それだけに、内部の捜査だけで終わらせず、客観的に事実を検証できるかどうかが、警察への信頼に関わってくる。今回の訴えがどこまで調べられ、何が明らかになるかが注目される。