タイの自動車専門サイトAutolife Thailandが公表した2026年4月のSUV・PPV販売台数ランキングで、トヨタ・フォーチュナーが863台、シェア33.0%で首位に立った。このセグメントの新車登録は合計2,619台。上位6車種のうちトヨタ、いすゞ、三菱の日本勢が約6割を握る一方、中国の長城汽車(GWM)が「TANK 300」で3位に入り、これまで日本車が独占してきたタイのSUV市場でも中国ブランドが存在感を強めている。
フォーチュナーといすゞMU-Xで市場の6割
4月のSUV・PPVセグメントは、首位のトヨタ・フォーチュナーが863台でシェア33.0%、2位のいすゞMU-Xが733台で28.0%だった。この2車種だけでセグメント全体の6割を超える。フォーチュナーはピックアップのハイラックスを、MU-XはいすゞD-MAXを基に開発された多目的車で、いずれもディーゼルエンジンを積む。悪路に強く7人乗りの多人数移動に向くことから、地方や大家族を中心に根強い需要がある。
6位には三菱パジェロスポーツが64台(シェア2.4%)で入り、日本メーカー3社の合計は1,660台。セグメントの約63%を占めた。ピックアップとその派生車で日本勢がタイ市場をリードしてきた長年の構図が、SUV・PPV分野にもそのまま表れた形だ。タイで生産され輸出も担う基幹車種だけに、各社とも力を入れている。
中国GWMのTANK 300が3位に浮上
今回のランキングで目立つのが、3位に入った中国・長城汽車のTANK 300である。488台を販売しシェアは18.6%。4位の米フォード・エベレスト(405台、15.5%)を上回り、フォーチュナーとMU-Xに次ぐ位置を確保した。さらに5位にはGWMのTANK 500(66台、2.5%)も入り、GWMはこのセグメントだけで合計554台、シェア21.1%を獲得した計算になる。
TANK 300やTANK 500、トヨタのランドクルーザーFJは、タイではピックアップから派生した乗用車(PPV)として登録され、物品税もその区分で課される。GWMは角張ったクロスカントリー風のデザインと比較的手ごろな価格を武器に、本格SUVの市場へ切り込んでいる。中国勢はこれまで電気自動車を軸にタイ市場へ参入してきたが、ディーゼルが主流のこの分野でも上位に並び始めた点が新しい。
ピックアップ大国タイのSUV市場
タイはトヨタ・ハイラックスやいすゞD-MAXを生産する東南アジア最大級のピックアップ生産拠点であり、税制面でもピックアップとその派生車が優遇されてきた歴史がある。月2,619台というSUV・PPVの規模は、エコカーやピックアップ本体に比べれば大きくはないが、各メーカーのブランド力や商品力を映す象徴的なセグメントといえる。
電気自動車では中国勢が短期間でシェアを伸ばしてきたが、内燃機関が中心のSUV・PPVでも中国ブランドが3位に食い込んだことは、タイ自動車市場の変化を示す一例だ。価格とデザインを前面に出す中国勢が、日本勢の牙城にどこまで迫るのか。月ごとの販売データが、今後もタイの自動車市場の行方を映す指標となる。