マレーシアがタイ産エビ5品種の輸入を停止した問題で、タイの商業省が、養殖農家や業者を支援するための13の対策を打ち出した。だぶついたエビを買い支え、新たな販路を開拓することで、価格の暴落を食い止める狙いだ。農家が政府への陳情を計画するなど危機感が高まるなかでの、具体策となる。 (関連記事:タイのエビ養殖農家が6月4日に集結、価格暴落の打開を農相に陳情へ)
商業省が打ち出した13の支援策
商業省によると、今回の対策は、マレーシアの輸入停止(6月1日発効)を受けて急いでまとめられた13項目から成る。柱となるのは、行き場を失ったエビを国内で買い支えることと、新しい輸出先を確保することである。
具体的には、月に400トン以上のエビを市場から吸収する目標を掲げ、消費を促すイベントの開催や、買い手と加工工場の橋渡しなどを進めるとしている。あわせて、出荷価格の安定や、国内での供給過剰の調整にも取り組む方針だ。
月400トンの買い支えと販路の開拓
エビの価格が下がる最大の要因は、輸出先が一つ閉ざされたことによる供給過剰である。マレーシア向けの行き場を失ったエビが国内にあふれれば、出荷価格はさらに押し下げられる。そこで政府は、まず国内で一定量を買い支え、市場に出回る量を調整しようとしている。
同時に、マレーシアに代わる輸出先の開拓も急ぐ。タイは世界有数のエビ生産国だが、エクアドルやインドといった競合との価格競争にさらされており、新たな市場を切り開くのは簡単ではない。それでも、特定の国に依存しすぎない販路をつくることは、長い目で見れば産業の安定につながる。
一方で、米国がインド産エビに高い関税を課す動きを見せており、タイにとっては新たな輸出の好機になるとの期待もある。商業省が目指す代替市場の開拓は、こうした追い風も視野に入れているとみられる。
マレーシア禁輸が招いた価格危機
今回の問題の発端は、マレーシアが6月1日から、ブラックタイガーやバナメイエビなどタイ産エビ5品種の輸入を一時停止したことだった。マレーシア側は、タイがかつてマレーシア産のスズキ類(シーバス)の輸入に同様の条件を課したことへの相互的な対応だと説明している。食品の安全をめぐる手続きの応酬が、貿易摩擦へと発展した形だ。この輸入停止は、タイの当局が食品安全基準に関する質問書に完全に回答すれば、改めて見直される見通しだとされる。
この禁輸で損なわれる金額は40億バーツ(約196億円)規模に上るとの見方もあり、南部を中心とする養殖農家は強い危機感を抱いている。農家は6月4日に首都で農相への陳情を計画しており、価格暴落への政府の対応が問われていた。商業省の13の対策が、農家の不安をどこまで和らげられるかが焦点となる。