タイ南部の国境で、日本の人気漫画「ワンピース」のトレーディングカード30箱が放置されているのが見つかり、税関が押収した。その額は200万バーツ(約980万円)を超える。誰も持ち主として名乗り出ず、通関の手続きをせずに持ち込もうとした疑いがある。世界的な人気を誇るカードゲームが、思わぬ形でニュースになった。
国境の通路に放置された30箱のカード
見つかったのは、ソンクラー県のサダオ国境検問所である。マレーシアと接するこの一帯は、人や物の往来が多い主要な陸路の玄関口だ。5月31日、税関の職員が、旅客ターミナルの到着側でフェンスの門のそばに積まれた段ボール箱に気づいた。
箱の中身は、ワンピースのカードゲーム「OP-16」の製品30箱だった。しかし、いくら待っても持ち主は現れなかった。税関は、これらが通関の手続きを経ずにタイへ持ち込まれたものとみて、2017年関税法などに違反するとして押収した。カードは証拠品としてサダオ税関に送られ、法的な手続きが進められる。
なぜワンピースのカードに200万バーツの価値が
トレーディングカードと聞くと、子どもの遊び道具のような印象を持つかもしれない。しかし、ワンピースのカードゲームは、日本のバンダイが手がける世界的な人気商品で、コレクターズアイテムとしての価値も高い。希少なカードや人気の弾(セット)は、発売直後から高値で取引されることも珍しくない。
このカードゲームは2022年の登場以来、世界中で人気が急拡大し、品薄や高額転売が話題になってきた。タイでも、若者を中心にカードを集めたり対戦したりする人が増え、専門店やイベントがにぎわっている。今回押収された「OP-16」も需要の高い新しい弾とみられ、30箱という量からは、転売や販売を目的とした商業的な持ち込みだった可能性がうかがえる。
通関を逃れようとした疑い
価値の高い商品を輸入する際には、本来、関税や税の支払いと通関の手続きが必要になる。これを避けて持ち込もうとすれば、関税法違反に問われる。今回、持ち主が名乗り出なかったのは、こうした手続きを逃れようとしたためだとみられる。
サダオ国境は、タイとマレーシアを結ぶ最大級の陸路の一つで、日々大量の物資が行き交う。それだけに、関税のかかる商品を申告せずに持ち込もうとする動きも後を絶たない。人気の高い日本のカードゲームがその網にかかった形で、コレクター垂涎の品が、持ち主のないまま税関の倉庫に眠ることになった。