タイ工業省は、太陽光パネルの安全・品質基準を強化し、9月にも新たな強制規格(TIS)を導入する方針を明らかにした。屋根置きの太陽光発電が急速に広がるなか、規格を満たさないパネルの輸入・販売を認めないことで、消費者を質の悪い製品から守る狙いがある。これまで任意だった認証が、事実上の必須要件になる。
任意から強制へ変わる認証
新しい基準は、工業規格を所管するタイ工業規格局(TISI)が定めるもので、ワラウット工業相が9月までの施行を目指すと説明した。施行されれば、太陽光パネルは法律上の「規制対象品」となり、所定の認証マークがない製品は輸入も販売もできなくなる。基準は、国際規格であるIEC 61215とIEC 61730をベースに、安全性や耐久性、発電性能を、高温多湿といったタイの気候条件のもとで評価する内容とされる。
質の悪いパネルを締め出す狙い
背景には、安価な輸入品のなかに、品質や安全性に不安のある製品が混じっているという問題意識がある。屋根に設置する太陽光パネルは、長期間、強い日差しや高温、雨にさらされ続ける。基準を満たさないパネルは、発電性能が早く落ちたり、発熱や発火といったトラブルにつながったりする恐れもある。強制規格の導入は、こうしたリスクのある製品を市場から締め出すための措置といえる。工業省は、対象の拡大や検査体制の強化も進める考えを示している。輸入の現場では、認証のないパネルが通関で止まり、追加の手続きや費用が生じる例も出ているという。
普及する屋根置き太陽光のなかで
タイの電気料金は1キロワット時あたり4バーツ前後で、暑い気候で冷房を多用するため、家庭や事業者の負担は重い。自前で発電して電気代を抑えられる太陽光への関心は年々高まっており、住宅や工場の屋根にパネルを設置する動きが広がっている。初期費用を抑えようと安いパネルを選ぶ例も多く、品質のばらつきが課題になっていた。政府はクリーンエネルギーの拡大を進めており、太陽光はその柱の一つだ。普及を急ぐほど、安全と品質をどう担保するかが課題になる。今回の規格強化は、消費者が安心して選べる環境を整える一方で、認証にかかる手間やコストが価格に上乗せされる可能性もある。設置を検討している人にとっては、価格の安さだけで飛びつかず、認証マークの有無や保証の内容を確かめることが、これまで以上に大切になりそうだ。