タイ深南部の紛争をめぐり、政府と武装勢力の和平対話が6月下旬に新たなラウンドを迎える見通しとなった。政府特別代表団の顧問を務めるワンムハマドノー・マター氏(ワンノー氏)は、襲撃が続くなかでも対話はなお有効だと述べ、話し合いによる解決への期待を示した。深南部では先日も治安部隊員が銃撃戦で死亡したばかりで、暴力と対話が並行する難しい局面が続いている。
6月下旬に再開される交渉
ワンノー氏は、首相顧問および政府の特別代表団の顧問という立場から、深南部の状況について語った。同氏によると、政府と武装勢力との対話は6月下旬に新たなラウンドが開かれる予定で、政府はその動向を注視しているという。たびたび中断や停滞を繰り返してきた和平対話だが、同氏は話し合いはまだ機能するとして、交渉の枠組みを維持する姿勢を強調した。
暴力と対話が並行する深南部
一方で、現地では襲撃がやんでいない。6月1日にはナラティワート県で、武装勢力の掃討作戦中に29歳の治安部隊員が銃撃戦で死亡したばかりだ。暴力が続くなかで対話のテーブルを保つことの難しさが、改めて浮き彫りになっている。ナラティワート、パッタニー、ヤラーのタイ深南部3県では、2004年以降、マレー系ムスリムの分離独立を求める武装勢力と政府の対立が続き、これまでに7,000人を超える死者が出たとされる。
続く課題と和平への道のり
和平対話は、これまでマレーシアの仲介のもとで断続的に行われてきたが、目立った進展のないまま今日に至っている。政府側の相手として中心になっているのは、最大の武装組織とされるBRN(民族革命戦線)だ。停戦のあり方や地域の自治といった核心の論点では双方の隔たりが大きく、交渉は容易ではない。武装勢力側の足並みや、現地での信頼醸成など、乗り越えるべき壁は多い。それでも、20年以上続く紛争を終わらせるには、対話を粘り強く続けるほかに道はないとの見方も根強い。6月下旬の交渉が、こう着した状況を動かすきっかけになるかどうかが注目される。