スウェーデンでの果物摘みの仕事をあっせんすると持ちかけ、20人以上から金をだまし取ったとして、56歳の女がウドンタニ県で逮捕された。被害総額は約50万バーツ(約245万円)。2022年に告訴されて逮捕状が出てから、およそ4年の逃亡の末の摘発だった。
4年の逃亡の末、ウドンタニの小屋で逮捕
逮捕されたのはスパヌン容疑者(56)。ハイウェイ警察第4方面隊などが、ウドンタニ県ムアン郡クッサラー地区ドンサラパン村の小屋に潜んでいたところを取り押さえた。容疑は公衆を相手にした詐欺。被害者からの訴えを受け、2022年2月にブンカーン県の裁判所が逮捕状を出していた。容疑者は取り調べに対して容疑を認めており、立件のためブンカーン県の裁判所へ送られた。
1人あたり2万バーツを集めて連絡を絶つ
警察によると、容疑者はスウェーデンで好待遇の果物摘みの仕事を紹介できると持ちかけ、希望者から1人あたり2万バーツ(約10万円)の手付金を集めていた。ところが渡航の手配も仕事もないまま連絡を絶ち、20人以上が被害に遭った。被害者の多くはブンカーン県シーウィライ郡の住民で、被害総額は約50万バーツにのぼるという。
なぜ「スウェーデンの果物摘み」が餌になるのか
この種の詐欺が成り立つ背景には、タイ東北部(イサーン)から北欧へ渡る出稼ぎの存在がある。毎夏、主にイサーンの農民ら5,000〜6,000人が、スウェーデンやフィンランドの森でブルーベリーなどの野生のベリーを摘む季節労働に出る。収穫期は7月から9月ごろで、2005年から2022年までに延べ11万人以上が両国へ渡ったとされ、現在も十数社の認可業者があっせんを手がける。短期間でまとまった現金を得られる可能性があるため、農閑期の収入源として根強い人気がある。被害が集中したブンカーン県も、こうした出稼ぎ希望者が多い地域の一つだ。「スウェーデンの果物摘み」という誘い文句は、現地の事情を知る人にとってはむしろ現実味のある話であり、それゆえに詐欺の格好の口実にされた。
正規の海外就労とのちがい
一方で、北欧のベリー摘みは渡航費や仲介手数料を前払いさせられ、不漁の年には稼ぎが経費を下回って借金だけが残ることもあり、労働環境やピンハネが国際的にも問題視されてきた。タイでの正規の海外就労は、本来タイ労働省雇用局(DOE)に登録された事業者を通じて手配される。今回のように個人が手付金だけを集めて連絡を絶つ手口は、その正規ルートの外側で起きる典型的な詐欺の形だった。


