タイ政府が、酒類の販売時間を一部の地域で午前11時から深夜0時まで認める新たな規則を定めた。5月28日に官報で告示され、29日から施行された。これまで続いてきた午後2時から5時までの販売禁止を、対象となる地域で取り払う内容で、長年タイ独特とされてきた酒の販売規制が緩む形となる。
一部地域で午前11時から深夜まで販売できる
新しい規則は、アルコール飲料の管理を担う委員会が出した告示によるものだ。5月28日付で官報に掲載され、29日から効力を持つ。2025年に定められた従来の規則に取って代わるものだという。
対象となる場所では、午前11時から深夜0時まで切れ目なく酒類を販売できるようになる。すべての地域で一律に適用されるわけではなく、指定された場所が対象となる点には注意が必要である。
1972年から続いてきた「午後の販売禁止」
タイには長年、午後2時から5時までの間は酒類を販売できないという独特の決まりがあった。1972年に導入されたもので、もともとは公務員らが勤務時間中に飲酒するのを防ぐ目的だったとされる。
この午後の空白の時間帯は、コンビニやスーパーで昼下がりにビールを買おうとして買えず、戸惑う外国人旅行者も多かった。今回の見直しは、対象地域でこの時間帯の禁止をなくし、昼から夜まで通して買えるようにするものである。
観光競争力を意識した緩和の流れ
酒類の販売時間をめぐっては、2025年12月にも大きな動きがあった。観光のかき入れ時に合わせて午後の販売禁止を試験的に解除する措置が取られ、全国で午前11時から深夜まで売れるようになっていた。
背景にあるのは、観光の競争力という視点である。観光業界からは、午後の販売禁止が、インドネシアやマレーシア、ベトナムといった規制の緩い国に旅行者を奪われる一因になっていると指摘されてきた。主要な観光地の一部の繁華街では、深夜を超えて未明まで提供が認められる区域もある。
今回の告示は、こうした流れの中で規制のあり方を改めて整理したものといえる。旅行や生活の場面では、どの地域のどの店が対象になるのかが分かりにくいため、実際に買う場所のルールを確認しておくのが安全である。