フィンランド人元F1ドライバーで現MTV3(フィンランド)のF1解説者を務めるマイカ・サロ氏(Mika Salo / 59歳)が2026年5月26日(火)夕方、バンコク滞在中の宿泊ホテル近くの横断歩道で、通りがかりのモペット(原付バイク)に乗った男性にナイフで脚を切りつけられる事件が発生した。サロ氏はフィンランド紙イルタ・サノマット(Ilta-Sanomat)への取材で「最初は軽くぶつかった程度の感覚で、そのまま歩き続けた。50メートルほど進んでから、通行人に『血が出ているよ』と言われて気付いた」と説明。靴が完全に血まみれの状態で病院に搬送され、医師は「鋭利なナイフによる深く清潔な切り傷」と判断、脚の筋肉に8針、皮膚に20針、合計28針の縫合処置を受けた。バンコクで同夜に類似事件が複数発生していたとされ、警察は連続事件の可能性も視野に捜査を進めている。
火曜夕方、ホテル近くの横断歩道で被害
事件発生はタイ時間で5月26日(火)夕方。マイカ・サロ氏は宿泊ホテル近くの横断歩道(pedestrian crossing)を渡っていた。タイの首都バンコクの中心部、おそらくスクンビット周辺の歩道で発生したと推定されるが、具体的なエリアと住所は本人と警察のプライバシー配慮から公表されていない。
横断歩道を渡っている最中、通りがかったモペット(originalで「moped」/小型バイク)に乗った男性が、サロ氏の脚を鋭利なナイフで切りつけた。サロ氏は当初「軽くぶつかった程度の感覚」と認識し、そのまま歩き続けた。
「50メートル先で『血が出ているよ』と知らされた」
サロ氏の証言で衝撃的なのは、切られた瞬間に痛みを強く感じなかったこと。「最初は軽い衝突かと思った。そのまま50メートルほど歩き続けたところ、通行人が『血が出ているよ』と声をかけてくれた」と語る。振り返って自分の脚を見ると、靴が完全に血まみれ(completely covered in blood)になっており、深い切り傷から大量出血していることに気付いた。
病院で28針の縫合、「鋭利なナイフによる深く清潔な切り傷」
サロ氏はその場でタクシーを呼んで病院へ向かった。検査の結果、傷は脚の筋肉まで達する深い切り傷で、医師は「鋭利なナイフ(sharp knife)による、深く清潔な切創(clean, deep incision)」と判断した。縫合処置の内訳は以下の通り。
- 筋肉組織(muscle tissue)の縫合: 8針
- 皮膚(skin)の縫合: 20針
- 合計: 28針
筋肉の縫合が必要なほどの深さは、軽い暴行ではなく明確な殺意や攻撃意図を含む犯行と判断される程度。
病院「同夜に複数の類似事件」、連続事件の可能性
サロ氏が搬送された病院では、関係者から「同夜に同様の事件が複数件あった」との情報が伝えられた。これは、バンコク市内で複数の被害者を生む「連続切り付け事件(stabbing spree)」が発生していた可能性を示唆する。タイ警察は同夜の他の被害事案との関連性を視野に入れて、防犯カメラ映像・モペット運転者の身元特定・凶器の特定を進めている。
マイカ・サロ氏のF1キャリア、1999年フェラーリ加入
被害者のマイカ・サロ氏(Mika Salo)は、フィンランド出身の元F1ドライバー。1994年から2002年までF1で活躍し、合計108戦に出走、ポール・ポジション1回、表彰台2回を記録した。最も注目されたのは1999年シーズン途中で、ミハエル・シューマッハが英国GPで足を骨折してリタイアした際、急遽フェラーリの代役ドライバーとして6戦に出場したこと。F1引退後はル・マン24時間レースのGT2クラスで2008年・2009年連覇、2014年にはオーストラリアのバサースト12時間レースで優勝するなど、耐久レース界でも活躍した。
現在はフィンランドの民放MTV3でF1解説者を務めており、母国フィンランドでは元F1ドライバーの代表格として広く認知されている人物。
イルタ・サノマット紙、フィンランド全国に拡散
サロ氏が事件後すぐにフィンランドの大手紙イルタ・サノマット(Ilta-Sanomat)に独占インタビューを与えたことで、本事件はフィンランド全国に大きく報道されている。フィンランド国内のSNS・フィンランド大使館・在タイ・フィンランド人コミュニティでも本件に関する情報共有が活発化している。フィンランドはタイへの観光客数で欧州主要国の一つで、サロ氏の事件は同国民のタイ旅行に対する警戒感を高める可能性がある。
バイク利用の通りすがり切付け、バンコクの新たな治安リスク
モペット(小型バイク)に乗った男性が通行人をナイフで切りつける手口は、タイの一般的な治安問題のパターンとは異なる。従来のバンコクの暴力事件は、強盗・引ったくり・痴情のもつれによるものが大半だったが、今回のように「通りがかりにナイフで一撃」というパターンは、無差別暴力(random violence)に近い性質を持つ。同夜に複数件の類似事件があったとすれば、組織的・連続的な暴力グループの存在も視野に入れる必要がある。
バンコク警察、捜査開始
本事件発覚を受けて、バンコク市警察(Royal Thai Police Bangkok Metropolitan Bureau)は捜査を開始した。サロ氏の被害現場の防犯カメラ映像、同夜の類似事件の状況、モペット運転者の身元特定、凶器の鑑定などが捜査の焦点となる。フィンランド大使館との連絡調整も進められており、サロ氏本人の安全とフィンランド国民への注意喚起が並行で行われる見込み。