タイ南部スラタニ県パンガン島でノミニー(名義貸し)を使った外国人による不動産取得・事業運営の摘発で逮捕された21人の外国人容疑者について、サムイ州裁判所が5月25日(月曜)に起訴手続きを行う予定であることが分かった。スラタニ州警察のスワット・スクシ警察少将が指揮する捜査本部によると、警察は容疑者全員の保釈に強く反対する方針で、12日間の身柄拘束を裁判所に要請、必要に応じて最長48日まで延長を求めるという。逮捕者の国籍はイスラエル4人、フランス4人、ロシア3人、ウクライナ2人、アフリカ・スロバキア・オランダ・オーストラリア・トルコ・ドイツ・フィリピンから各1人と多国籍にわたる(計21人、当初22人と報じられたが1人は別件で処理)。容疑は刑法と土地法違反、虚偽情報の公的記録への提供、外国利益のために名義会社経由で土地を不法取得した行為。
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21人の外国人容疑者、5月25日月曜にサムイ裁判所で起訴
サムイ州裁判所で5月25日に行われる起訴手続きには、パンガン島での名義貸し(ノミニー)スキームに関与したとされる21人の外国人容疑者が出廷する。スラタニ州警察スワット・スクシ警察少将が捜査全体を統括している。警察は本人達の保釈には強く反対する立場で、12日間の身柄拘束許可を裁判所に求めており、捜査の進展次第で最長48日間まで延長を要請する方針。
国籍はイスラエル・フランス・ロシアなど12か国
逮捕された21人の国籍はかなり多岐にわたる。最も多いのはイスラエル4人とフランス4人、続いてロシア3人、ウクライナ2人。さらにアフリカ・スロバキア・オランダ・オーストラリア・トルコ・ドイツ・フィリピンから各1人ずつが含まれる。1人については国籍が現時点で非公開のまま。当初は22人と報じられていたが、1人は別件処理に切り分けられた格好となった。
38区画・約2億バーツの土地と「The Yoga House Koh Phangan」が対象
捜査の物的な対象は、ノミニーを使って取得・保有されていたとされる38区画(約38ライ、約60,800平方メートル)の土地で、評価額は約2億バーツ(約9億2,000万円)。このうち、イスラエル系の「FB Property Co.」が運営していたとされるリゾート施設「The Yoga House Koh Phangan」(ヨガリトリート向け宿泊施設)も摘発対象に含まれている。タイの土地法では、外国人個人が土地を直接所有することは原則として禁じられており、タイ法人を経由した実質的な外国人保有は厳しく規制されている。
容疑は刑法+土地法違反+虚偽情報の公的記録提供
警察が立件している主な容疑は、(1)刑法違反、(2)土地法違反、(3)虚偽情報の公的記録への提供、(4)外国利益のために名義会社経由で土地を不法取得した行為の4本柱。タイの「外国人事業法(Foreign Business Act)」と「土地法(Land Code)」の組み合わせで、外国人による土地・事業の実質的支配を排除するための法的枠組みが運用されている。
パンガンノミニー第2フェーズ(32社+45逮捕状)の一部
今回の21人起訴は、本サイトでも報じている「パンガン島ノミニー第2フェーズ捜査」の一部にあたる。第2フェーズでは32の法人実体と45件の逮捕状が出されており、第1フェーズ(5月13日の27社・2人逮捕)、第2フェーズ(5月23日の32社・22人逮捕)、そして今回の月曜起訴と段階的に進んでいる。アヌティン首相は5月13日にパンガン島を視察し、全国規模のノミニー検証を指示しており、外国人関与11,426社の調査が並行して進められている。
タイ法人経由の名義保有でも警察が「実態支配」と認定すれば立件対象
今回の事案は、長期滞在の外国人や駐在員が「タイ法人を使った土地保有・事業運営」を行う際のリスクを改めて示した形になる。タイ法人を経由した実質的な外国人保有は、形式上タイ人株主が過半数を占めていても、警察と国土担当部局が「実態としての外国人支配」を認定した場合に立件対象となる。本サイトでは今後の起訴・判決の流れも引き続き伝えていく。