タイ・バンコクのチャトゥチャク区にあるホームステイ施設の一室で5月23日午後9時頃、17歳の少年バス君(仮名)が、マッチングアプリで知り合った19歳の女性トン氏(仮名)に「私の母と叔母が会いたがっている」と誘われて呼び出された先で、女性の元交際相手のグループに袋叩きにされ、意識を失う事件が発生した。バス君は5月24日午後1時、報道機関に「公正な対応を」と訴え出て、事件の経緯を明らかにした。元交際相手は薬物使用とみられる行動でトン氏に執拗に付きまとっており、バス君も「最初から罠だった可能性が高い」と話している。
マッチングアプリでの出会いから3回の部屋訪問
バス君によると、トン氏とはマッチングアプリで知り合い、何日か会話を続けた後、自分のホームステイの部屋に3回招き入れた。ただし、トン氏と一緒にいる間も、トン氏の元交際相手から「俺の彼女に手を出すな」という旨の罵倒の電話が掛かってきていたという。バス君がトン氏に問い詰めたところ、「元彼とはとっくに別れている。薬物使用でずっと付きまとってくる」との返答だった。
「母と叔母が会いたがっている」の口実で待ち伏せに
バス君は最初、トン氏に呼ばれてバンコクのロムンマン地区の路地に行った。「元交際相手の家の近くの路地のようで、罠の可能性が高かった」と振り返る。今回の事件はその次の呼び出しで起きた。トン氏は「母と叔母が会いたがっている」と理由を付けて、バス君をチャトゥチャク区内のホームステイ施設に誘い出した。バス君が現地に到着すると、母や叔母ではなく、トン氏の元交際相手と仲間たちが待ち構えていた。
ホームステイで集団暴行、気絶後に意識回復
ホームステイの一室で待っていたのは元交際相手のグループで、バス君は到着直後から取り囲まれて殴る蹴るの暴行を受けた。複数人による集中的な暴行で、バス君は短時間で意識を失った。後に意識を取り戻したバス君は、施設を出て報道機関と警察への通報に踏み切った。事件の現場となったホームステイ施設の管理者・防犯カメラの状況についても、警察の捜査対象になっている。
マッチングアプリ経由の犯罪、タイで増加する若者間トラブル
タイ国内ではマッチングアプリやSNSのDM経由で知り合った相手から金銭被害・身体被害を受ける事案が近年、若い世代を中心に増えている。今回のバス君のケースは、女性が交際相手を装って被害者を誘い出し、別グループによる集団暴行に持ち込むという、いわゆる「ハニートラップ」型の事案。被害者は17歳の未成年で、罠であることを見抜けなかった点も、若年層のSNSリテラシー教育の必要性を浮かび上がらせている。
警察捜査、元交際相手と19歳女性も対象に
バス君は「公正な対応をしてほしい」として、報道と警察両方に訴え出ている。警察は元交際相手のグループの身元特定と、トン氏自身の関与の有無を含めて捜査を開始した。トン氏が「罠であることを知って呼び出した」のか、「知らずに利用された」のかが、立件の論点となる見通し。タイの刑事手続きでは、集団暴行で被害者が気絶する事案は重い量刑の対象になりやすい。

