タイ東部サケオ県コークスーン郡ノンマークムン村のバノンチャン地区で5月18日、40年以上にわたってカンボジア側に占有されていた土地が、ようやくタイ住民の手に戻った。タイ陸軍のブラパ軍管区とアランヤプラテート特殊部隊が現地に入り、トラクターと重機を持ち込んだ住民4人が、計146ライ(約23ヘクタール)の農地を整え直す作業を始めた。
タイ語のKhaosodが伝えたところによれば、バノンチャン地区は、長くカンボジア側が越境して耕してきたエリアで、もともとの土地の所有者であるタイ側の住民は、祖先の畑に近付くこともできない状態が続いていた。タイ軍がこのエリアの主権を確立できたことで、ようやくオーナーたちが「自分の土地」を耕しに戻ってこられるようになった、というのが今回の話だ。
しんとした空気のなか、トラクターが重い音を立てて地面をならし始めた。ところが作業の途中、農地のなかから爆発物のような物体が見つかる。住民は機材を止め、軍は危険エリアを封鎖したうえで、第1人道地雷除去ユニット(นปท.1)を緊急で呼んだ。タイ・カンボジア国境のこの一帯は、戦闘や紛争の時代に置き去りにされた不発弾や地雷が、いまだに土の下で眠っている地域だ。
陸軍は、エリア全体を「100%安全」と判断できるまで、住民の本格的な復帰は許可しない方針だという。40年待った人たちに、もうしばらく待ってほしい、という指示はやや残酷だが、それでも農地に重機が入った映像は、現場の住民にとっては大きな一歩だ。
タイ・カンボジア国境はプレアヴィヘア寺院の問題に代表されるように、いまも未確定の点線がたくさん引かれている。146ライというサイズは、地図上ではほんの小さな点でしかない。それでも、自分の畑の土に40年ぶりに鍬を入れた4人の住民にとって、この点は限りなく重い。