タイ・スリヤ農業協同組合大臣が2026年5月16日、2026年(仏暦2569)のドリアン輸出を1500億バーツ(約6,800億円)に伸ばすため、24時間通関体制と「4不」品質管理基準を打ち出した。最大市場の中国が要求する「基本黄色2(BY2)」などの新基準に対応し、検疫・通関・残留農薬検査を中国規格に揃える戦略だ。タイのドリアンは中国向け輸出が圧倒的シェアを占め、農家・輸出業者・流通の経済規模は地方経済を支える基幹産業。在タイ日本人の駐在員家庭にとっても、年次の贈答用ドリアン価格に間接的に影響する話題だ。
1500億B目標と現状進捗
スリヤ大臣によると、2026年のドリアン輸出目標は1500億バーツ(約6,800億円相当)。5月16日時点の進捗は約525億バーツ売上、460,000トン、28,500件出荷で、目標達成までに残り約1,000億バーツの増収が必要だ。タイドリアンの主力品種「モントーン(金枕)」と「チャニー」は中国を中心とした東南アジア・ASEAN市場で高い人気を維持しているが、近年は中国国内産・ベトナム産ドリアンとの競争が激化、価格と品質の両面で攻めの姿勢が必要になっている。
「4不」品質管理基準
タイ農業省が掲げる「4不(プ・ラブ・スィ)」は4つの禁止条件で構成される。(1)未熟果(早摘み)の出荷禁止、(2)虫害(病害含む)のある果実排除、(3)詐称表示(産地・品種偽装)の禁止、(4)化学残留物の超過排除。中国の食品安全基準が厳しくなる中、タイ国内の摘み取り・選果・輸送の全段階で品質を担保する必要があり、農家への教育・指導も並行して進められる。
24時間輸出体制と中国「BY2」対応
具体的な体制強化策は4つ。(1)通関手続き24時間運用、(2)検査官の配置強化、(3)電子植物検疫証明書「e-Phyto」と「TAS-License」システムの統合推進、(4)化学残留物検査室の中国基準への適合化。特に中国が新たに導入した「基本黄色2(BY2)」基準は、果肉の成熟度と外観品質を細かく規定するもので、これを満たさないと中国通関での却下リスクがある。タイのチャンタブリ・ラヨーン・トラート東部3県を中心とする産地はこの基準対応が急務だ。
グリーンマーケット対応・有機肥料推進
スリヤ大臣はあわせて「品質ドリアン園」のパイロット事業も発表した。化学肥料を削減し有機肥料の利用を進める方向で、世界的な「グリーンマーケット」需要に乗り、付加価値の高いプレミアム・ドリアン市場を狙う。中国の中・高所得層は環境配慮型農産物への関心が高く、有機認証付きドリアンの価格プレミアムは通常の1.5〜2倍に達する。タイは品種・栽培技術での優位性を維持しつつ、サステナビリティ軸で再差別化を図る。
駐在員家庭の含意
タイ駐在員家庭にとって、ドリアン市場の動向は2つの側面で関わる。第1に、贈答用・自家消費用のドリアン価格(バンコク・スーパー、中央集配市場)は輸出市場の動向に左右される。中国輸出が好調な年は国内価格も上がる傾向だ。第2に、タイ滞在中の日本人観光客がチャンタブリ・ラヨーンの「ドリアンビュッフェ」ツアーを楽しむ場合、産地での味と価格の最新動向を把握しておくと良い。今年は4-7月がドリアンの最盛期で、輸出基準の厳格化に伴い、輸出規格外品が国内市場に流れる可能性もある。質を見て選ぶことが、これまで以上に重要になりそうだ。